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「祐也さん、なに護で遊んでるんですか」
永井さんが呆れたように苦笑している。他の皆も「あー、人で遊ぶの、祐也さんの趣味だよねー」などと言っている。
そう、祐也さんはこうやって人をからかうのが好きだ。本人曰く「愛情の裏返し」だそうだが、勘弁してもらいたい。遊ばれる方の身にもなってほしい。
「で、護、祐也さんに何を言われたんだ? 顔、赤いけど」
「えっ?」
「あ、ほんとだー」
永井さんの声を聞きつけ、森野さんが俺のところまでやってくる。いや、来なくていいし!
「一ノ瀬さんってー」
森野さんは指で俺の眉間に触れ、グイと押す。
「一見強面なんですけど、それはこの眉間の皺のせいですよねー。結構イケメンなのに、勿体ない」
「ち、違うし!」
「だよなぁ。でも、強面のくせに実はイケメンで、甲斐甲斐しい世話焼きってすごくない? ギャップ萌えそのままで、その気になりゃ、女の子よりどりみどりなのにー」
祐也さんがニヤニヤと笑っている。ついには、肩に腕を回され、乱暴に頭を撫でられる始末。
「祐也さん、ほんと護が大好きですよね」
生暖かい視線でそう言う永井さんに、森野さんも同意するように頷いている。そして祐也さんはというと、その言葉にノッてくる。もう手がつけられない。完全に酔ってるだろ、この人。
「大好きー! だから、ちょっと嫉妬」
「はぁ?」
「だって、僕の大好きな護が、恋煩いでぼんやりしちゃうなんてっ」
「恋煩い?」
途端に、森野さんの目が輝きだす。あぁ……女子が一番好きそうなネタ!
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