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パーティーは予想に違わず、始終どんちゃん騒ぎで大変なことになっていた。いきなりかくし芸大会みたいなことも始まるし、クリスマスパーティーというより忘年会といった感じだ。でも、今年は明日で仕事納めな人も多いみたいだし、忘年会といってもいいかもしれない。
とにかくひたすら笑い転げて顔の筋肉も痛いし、腹筋も痛い。明日、筋肉痛になってたらどうしようというほどに笑いまくり、楽しい時間を過ごした。
そしてようやくパーティーはお開きとなり、解散となる。花蓮さんが言ったとおり、それはちょうど日付が変わる頃だった。
「それじゃ、お疲れー!」
「酔って絡んで他人様に迷惑かけるなよ」
「はーい!」
そう言って、皆は方々に散らばっていく。このまま更に飲みに行くメンバーもいるようで、本当に元気というか、体力が有り余ってるというか。
私はもうくたくただ。パーティーが終わった途端に気が抜けて、今や眠気に襲われているくらい。
「眠そうだな」
「ん……帰るまでは頑張る」
「無理すんな。タクシー拾うから」
「え、でも……」
「いいから」
護さんが私の頭を優しく撫でる。そんな風にされると益々眠くなってしまう。
まだ電車は動いている時間だけれど、私たちは大通りに出て、タクシーを捕まえることにした。すぐに捕まるかなと心配したけれど、幸いタクシーはすぐにやってきて私たちはそれに乗り込む。しばらくは頑張って起きていたけど、車の揺れが心地よくて、瞼が勝手に落ちてくる。
「寝てろ」
「でも……」
「着いたらちゃんと起こすから」
そう言って、護さんは私の肩を抱き寄せ、もたれかからせた。
温かい……。
車の揺れと、温かい腕、大好きな人の匂い。これらに抗うことなどできるはずもなく、私はあっという間に意識を手放してしまったのだった。
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