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『クラスに一人くらいは、本音が言える友だちがほしいよね』
どうしてわかるの? 私がそう思っていること。
『だから、私には言っちゃって平気だよ! その代わり、私も柚にはバンバン本音しゃべっちゃう!』
彼女は悪戯っぽく肩を竦める。そんな仕草がとても可愛い。
『……ありがとう』
『よし! じゃあ、私のことは今から「百」って名前で呼んでね?』
グイと顔を近づける百に、私は笑顔でコクンと頷いた。
あまりに嬉しくて、ホッとして、上手く笑えなかったかもしれない。でも、そんな私を百はまた強くぎゅっと抱きしめてくれた。
それ以来、私と百は仲良くなった。
百には、私が桜森に落ちてしまい、明智に来ることになった経緯を話した。
「桜森からウチかー。それはちょっと思うとこあるよね」なんて言いながら、苦笑いをしていた顔を思い出す。
百は、そのことは誰にも話さず、私がそれなりに距離を取りながらでもクラスに馴染めるよう頑張ってくれた。
百と仲良くなったおかげで、いろんな人との繋がりもできた。やっぱり本音は言えないけど、それでも学校生活が前よりもずっと過ごしやすくなったのは確実だ。百には、いくら感謝してもし足りない。
そんなある日、百が私の前に一人の男子を連れてきて、言った。
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