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第9話 地球での最後
ついにそのときがやってきた。俺の一ヶ月間の研修期間は終わりを迎えた。そしてすぐに宇宙へと旅立つ準備に取り掛かる。俺は他の宇宙飛行士たち共々、宇宙船へと乗り込む。もちろん宇宙の家のロボットハウスへと向かう決断をしたからだ。途中、ジェイコブに引き止められた。
「少年!」近づいてきていう。「旅立つ決断をしてくれたんだな」
「ええ、俺はそのために来た。当初の予定通りに宇宙に行くだけです」
「むぅ……実は、今、君の父親と電話が繋がっている」
「え?」
「言いたいことがあるそうだ。出発前に話を聞いてあげてはくれないかな?」
「え……ええ」
それはテレビ電話だった。モニターを見るとすぐ目の前に父さんの顔があった。今更なんの用だよ。俺はむっとして父さんをにらみつけた。そうしたら何だか居心地の悪そうな顔で父さんはいう。
「隆太……一週間ぶりか」
「どうしたんだよ父さん?」
「俺のせいでお前をこんな目に……今になって怖気づいたんだ……」
「後の祭りだよ。父さんは家で待ってて。すぐに帰ってくる」
「あのな……ひとつ言いそびれたことがあるんだ」
「なんだよ? あらたまって……気持ち悪いな?」
「じいさんのことだ。俺の父ちゃん。隆太が幼い頃に亡くなってるだろ?」
「ああ?」
「……いや、やっぱりヤメだ。帰ってきたら話そう」
「どういうことだよ? ちゃんと説明を――」
――――ブツッ
父さんの方から無理やり通話を切られた。あのクソ親父め……。ジェイコブはいう。
「ワタシからも、一先ずお別れの挨拶をしておこうか」
「やめてくださいよ、縁起が悪い」
「フフ、そうだな。まあ楽しんでくれたまえ。この宇宙旅行が君にとって最高の思い出になることを祈っている。そして向こうで再開したときにはワタシは君のバディだ。わからないことは何でも相談に乗る」
俺はジェイコブと握手を交わした。
「よろしく頼むぞ」「……」
全ては父さんの借金から始まった。なんにせよ、あらゆる不安の源はあの宇宙にある。俺は全ての疑惑に決着をつける思いだった。そして、俺は宇宙船へと搭乗した。
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