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1-3 これから青春してみせる
取り急ぎ今後のことを話し合おう、と徒歩十分程度先にある小さな公園のブランコに二人で腰掛ける。
どんよりと膝に肘をつけて悩む俺と、ぼうっと星空を眺める小葵。
これまで全く接点のなかった高校生二人がそこにはいた。
「なんで、その死神とやらは俺に見えなくなったんだ? で、なんで俺らを助けようとなんかするんだ? しかもなんだそのふざけた条件は?」
「そのうち分かる時が来る、ってさ」
「……死因もいつ死ぬのかも何で同時期なのかも分からないけど、三つの条件さえ満たせば死ぬことは無い、ってのを信じろと」
「そうだね」
相変わらず抑揚のない声だ。……まるで他人事みたいに。隣に、死神がいるのが見えて声も聞こえているというのに。
「小葵が盛大な嘘を吐いてる、って可能性もあるよな」
なんだか意地悪な言い方になってしまった。
なにを、イライラしているんだ、俺。
「そうだね」
これじゃ小葵に八つ当たりしているだけじゃないか。
「それに、この子は死神じゃないかもしれないし」
大きな溜息を吐いた。
さっきから、貧乏揺すりがどんどん小刻みに大きくなっていく。けど、止められなかった。
「黒くて大きな鎌をもっている怪異といったら死神だろ。じゃあ、何だ、どっかのテレビのドッキリで奇術でも見せられたっていうのか。女子高生をひとり夜に出歩かせて同じくひとり夜に出歩いている男子高生に余命宣告って、そんなの炎上案件だろ。何にも面白くない。何が、俺らがもうすぐ死ぬだよ。……意味分かんねえよ」
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