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再びパーカーを着衣する暦にリョクがすかさず詰め寄り、問い掛けます。
「森島、何でそんなに泳ぐのがウメェの!?」
「ぼく、スポーツ全般は平均……というか、平均より下なんだけど、水泳だけはちょっと得意なんだ」
リョクと対等に並べるとまではいかなくても、おこがましいと自認しながらも、暦は自信のある事柄はリョクに公言してゆきたいと思っているのです。
「スッゲェーー!! メチャクチャかっこ良かった!! メチャクチャ感動した!! 水泳選手かよ!? って思うくらいに見惚れた!!」
水泳が得意といっても、世界の頂点にいる強豪達と渡り合えるものではなく、そういった本格的な水泳選手と暦の泳ぎは雲泥の差です。
自ら特技をお披露目したとはいえ、あまりに大絶賛してくるリョクを前にして、暦は大それた事を仕出かしてしまったと、今しがたとった己の行動を省みてしまいます。
「そ、そんなに褒められるほどのものじゃないよ。ぼくくらいの実力者なんて沢山いるよ」
「いや、マジでスゲェよ!!」
照れて謙遜する暦の姿にリョクは込み上げてくる愛しさが止まりません。
暦はこんなにも素敵で、こんなにも立派なのだと、リョクは何度も暦を褒め称えます。
そんな暦の恋人である事が自慢なリョクは、今ここで、それを実感したくなりました。
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