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願望
贅沢を言うなら、佐山さんを誘って二人で夏祭りに、行きたかった。
でも、下手なことをして、佐山さんに嫌われたら嫌だし、僕が佐山さんのことを想っているとバレるかも……とかうじうじ考えてたら今日になった……。
~もし、佐山さんに出会ったら~
「あれ? 新田くん?」という声がして、
振り返ると鮮やかな青の浴衣に身を包んだ佐山さん。
浴衣、着て行くって言ってたけど、何色の浴衣かな?
僕は青色が似合うとおもうな。
ストーカーっぽいかな?
「新田くん一人で来たの?」
佐山さんは小首をかしげて問う。
「一緒に屋台、回ろーよ」
……なーんて、展開になってほしいものだ。
ちゃんと、分かってる。気づいている。
現実は、想像するほど甘くないということを。
自分から行動しなければ、望みは叶わない。
心躍るような、素敵な展開もない。
行動して、失うことがあったとしても、それは、それだ。
そんな風に、きっぱりと、腹をくくれれば苦労しない……。
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