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おすそ分け
焼きそばを、食べてる少年。
焼きそば、めっちゃ美味しそうに見えるんだけど。
この子、おいしそうに食べるなぁ。少し分けてくれないかなーって、見つめていたら、少年がこちらを見た。
「お兄ちゃん、焼きそば、食べたいの?」
「少し分けてほしいなーって、思ってただけだよ?」
見ていたことを、少年に気づかれたことに動揺してつい、本当の事を言ってしまった。
それでも、少年は、ばかにする様子もなく、
「食べたいんでしょ? 美味しいよ!」と、お箸を差し出してきた。
でも、さすがに、年下の子に食べ物を分けてもらうのは……。
一口もらった。
美味しかった。
お礼にチョコバナナを、買ってあげた。
少年は嬉しそうに「ありがとう。」と言った。
少年の名は新太、というらしい。
新太くんには、姉がいて、今日はその姉と一緒に来たらしい。
「お姉ちゃんね、優梨って言うの。お兄ちゃん、知ってる?」
「う~ん、分からないな。」
僕は人の名前を覚えるのが得意でない。名字が限界である。
だから、もしかしたらこの少年の、姉と接点があるのかもしれない。
そんなことを、考えながら、少年と話していたら、少年が目を大きく見開いて、声を上げた。
「あっ! お姉ちゃん!」
「新太!」
僕の後ろに佐山さんがいた。
……?
まさか、これは、漫画でよくある、パターン?
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