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◇
『今日は迎えに行ってやるから。練習午前終わりだし。』
合宿の休み後、初めて半日練習だったその日、琉希くんがバイト先に迎えに来ると言い出した。
『うん。わたし5時上がりだから。』
『OK。』
そしてその日、琉希くんが迎えに来た。
わたしはまだ勤務中で、お店のレジ前で応対中だった。
琉希くんはお店に入ってくるなりわたしを発見し、手をあげた。
で、わたしの前に来て、ニヤッて笑って、注文し始める。
「えっとー。ベーコンチーズバーガーと…ポテトと…コーラと…んで…」
「琉希くん。もうちょっと外で…」
小声で言うわたしにも構わず…続ける。
「あとさ。みのりの笑顔。」
それでニヤッて笑った。
「いいや。待ってる。あとどんくらい?」
「もう10分で終わる。」
そう言ったわたしは、前に立ってる琉希くんを見て、琉希くんがわたしの後ろを見てることに気づいた。
「え?茉祐子?」
「琉希?」
琉希くんはわたしのうしろにバックヤードから出てきた長谷川さんを見て、口をアングリ開けてそう言った。
「え?」
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