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「ラブ・カルタ」……先にカードに触れた方(回答者)が、その文字から始まる相手の好きなところを言い、言われた方が正誤をジャッジする。
正しければ回答者の取り札となり、最終的に多くの取り札を持っていた方が、相手のことが好きということになる。
そして敗者はもちろん、「世界一かわいい」という烙印を押されてしまう。まさに悪魔のゲームだ。
『て』
ケータイから発せられる声に反応してほぼノータイムで動く二人。今度は桜子の指先が先にカードを捉えた。
「手を繋ぐだけで真っ赤になって照れちゃうところがかわいい」
「せっ、正解」
正誤については恣意的な判断に委ねられるため、基本的には正解扱いとするのが通例だ。
ただし、例外もいくつか存在する。
『り』
史奈がカードを取り、高らかに宣言する。
「料理上手なところが好き」
「それは前に一回言われたわよ。不正解」
例えば、同じ手を二度使ってはならない。史奈はしまったと唇を噛んだ。
『い』
今度は桜子がカードを取る。
「いろいろ含めてあなたの全部が好きよ、史奈」
「さすがに雑じゃないかな? 不正解」
本当はまあまあ、というかめっちゃ嬉しいけど、心を鬼にして告げる史奈。雑な回答も不正解の対象だ。
二人は痴話喧嘩のたびに、何度もこのゲームで対戦しているため、いくら愛していると言えど、新たな良い面を探すのは一苦労だった。
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