もう、止めよう。

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 薄暗くなった教室の中で、さらりと彼女の黒髪が揺れた。一つむすびにした癖ひとつない綺麗な髪は、彼女の真っ直ぐな性格を表しているようで俺はとても好きだ。 「ね、私たち本当に優勝しちゃったね」  彼女は一重の切れ長な目の目尻を垂れ下げる。それだけで冷たげな彼女の雰囲気が、ふんわりとしたものになり一気に可愛くなる。思わず頭を撫でたくなるけれど、彼女は人目のあるかもしれない所でいちゃつくのを嫌がるので今は我慢して放課後にしておこう。 「うん、本当に優勝しちゃったよ」  そう、優勝してしまったんだよね。文化祭の「ベストカップル賞」で。  俺たちが文化祭のコンテストに出ることになった経緯は、完全に友人の悪ノリのせいだ。  友人が文化祭でこのコンテストを知った時、僕たちだったら優勝できるのではないかと言い出した。クラスのみんなもそれに乗っかり始めて、その勢いに俺たちは逆らうことができなかった。こうして勢いに乗せられてコンテストに出ることになり、本日無事にコンテストで優勝した次第だ。
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