もう、止めよう。

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「なんで、今後も俺が女の格好をして、お前が男の格好をして付き合わなきゃいけないんだよ! 男女逆転カップルコンテストで優勝取れたんだから、もういいだろう」  俺はわざとらしく髪の少しだけ結んでつけてたリボンをぶん取って、床に投げつける。ついでに、シャツのリボンをとって第二ボタンまで開けておく。  彼女は肩幅くらいに足を開けて、どかりと教壇に座り込んだ。俺の彼女ながらにその姿も様になっていて、嫉妬してしまいそうになる。  ちなみに俺はスカートを履いているので、中が見えないように足は閉じている。女装直後にいつものように足を広げて座っていたら、「翔ちゃんのスカートの中はどうなってるのー」とか言って覗いてくる変態がいたからだ。足を閉じて座ることに慣れてしまった俺は、少し危機感を抱いている。  クッソ、これも俺よりかっこいい彼女がいるからだ。 「なんで〜、翔ちゃん可愛いのに」 「俺にとって、それは褒め言葉にならないんだよ。小さい頃からそれを言われ続けて、聞き飽きたんだよ」 「うわ、全女子を今の言葉で敵に回したね」  パッチリ二重に小さい丸顔な俺は、幼い頃から「可愛い」と言われまくった。そのせいで、俺は素直に「可愛い」という言葉を受け取れない男となってしまったんだ。  小さい頃から「可愛いねぇ」「まるで天使みたい」「これで女の子だったらモテたでしょうに」とか言われて育ってみろ。そりゃー捻くれるわ。
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