もう、止めよう。

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 先生は一応「多様性を大事にしてかなきゃなー」って言っていたけれど、先生ものこの状況を楽しんでいただけだと俺は踏んでいる。  大体、ここの学校は教師も生徒もノリがいい奴が多すぎる。 「コレは許可する先生がおかしいんだって。多様性だとか言ってたけど、ぜってー面白がってただけだし」 「ははは、半分はそうだろうけど、半分は本音だと思うよ? 自分の格好に違和感を持っている人も、私たちみたいな人がいれば名乗り出やすくなるかと思って認めたのかもだし」 「そこまで深く考えてるか、あれ」 「少なくとも、校則にかかわることだしね。アンケートやら署名とかしたでしょ、ちゃんと」 「したけどよー、半分以上ノリだぜ? あれは」 「まぁノリでも良いじゃない」  それで世界が変わるのならね、と彼女は笑う。その言葉に、俺は笑ってうなづくことしか出来なかった。 「けど、この格好はもう充分だ」  俺は項垂れるようにして今一度訴えると、今度は同意してくれた。
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