もう、止めよう。

　「さすがに、そこまで嫌がる彼氏様に無理にさせられない」と彼女は苦笑してた。俺は今までも全力で拒否をしていたんだがな、と思いながらも流した。

「一つ交換条件だけど、したくなったら、またしても良いよね。制服交換」

　今頃だが、今着ているお互いの制服はお互いのものだ。悲しいことに、現時点でほとんど同じ身長の俺と彼女。こうやって気軽に「制服交換したい」なんて言うカップルなんて他にいるんだろうか。

　居るなら会いたい、切実に。

　そして、お悩みを共有したい。
　こんな風に俺に無理難題を吹っかけてくる。何故かいたずらに笑顔を浮かべる彼女を愛おしいと思ってしまう、と。だからこんな風に尻に敷かれてしまうんだが、どうすれば良いのかと。

　そうして話し合いをしても最終的には、こう言う結論が出るのであろう。「それすらも可愛いと思っている時点で、もう負けだ。彼女には一生頭が上がらない」のだと。