白の試験者

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 精子バンクに登録しようと思った。  彼女いない歴=年齢と世間的に言われるこの私にも何か世の中の役に立つ事ができないだろうかと考えていた時に、テレビのニュースで精子バンクの話題をやっていたのだ。これは素晴しい、と私は膝を打った。  幸い健康には恵まれているし、学歴的には国立大に通っていたし、一時は一応、大手と呼ばれるメーカーに勤めてもいた。今は違うが。今は無職だが。無職なので昼下りのワイドショーを見る事ができて、そこでこうして精子バンクの話題を知る事となったのである。  世の中には沢山の女性に自らの精子を提供して、ちょっとした有名な種馬のような、いや表現が悪いかもしれないがドナーとして非常に有益な活動をしている男性もいるという。ならばこの私が、そのようなドナーになる事も可能かもしれない。
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