白の試験者

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 久々のハルカ氏と同時のフィニッシュであった。容器が小さく中々に難しい処置であったが無事、「採精」が終わった。すぐに蓋を閉め(空気に触れるのが良くない)、傍らに予め準備しておいたティッシュで事後処理を終えると、少し惜しい気持ちを堪えてまだ声を上げ続けているハルカ氏に別れを告げ、私はDVDプレイヤーのリモコンをオフにして立ち上った。  「メンズルーム」の端には専用の窓口が設けられており、そこに先ほどの容器を置いた。ふっと、今の一連の行動を監視されていはしなかったかと不安になったが、こちとらいっぱしの男である。どんと来い、の気持ちで部屋を出た。  先ほどの看護婦氏がおられた。 「終わりました?」  どう答えたものかと思ったが何となく頷く。 「待合室でお待ちください。少々お時間がかかりますので、外出されたい場合は受付に」
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