白の試験者

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 看護師氏(繰り返すがなかなかに美しい女性である)はやはり事務的にそう言い、入口の方を手で促した。「はい」とか何とか、答えて私は待合室に行った。  待合室には私以外に二人ほど、男性がいた。私よりも高齢に見える落ち着いた紳士と、まだ若そうなイケている営業マン風氏であった。  みな「採精」をしていたのかと思うと不思議な気分になった。この中に私よりも更にサラブレッドがいるのかもしれない。そう想うと私は自分が駄馬であった場合の不安にかられた。落ち着かない。紳士も営業マン風氏も私を鼻で笑っているかのように見える。  いたたまれなくなって、私は受付の方(こちらもなかなかに美しい女性であった)に外出する旨を告げ、クリニックの外に出た。三十分ほどで戻るようにと言われた。  外は日差しが眩しかった。  何か大きな仕事をやり遂げたかのような感覚があった。
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