悪魔のイタズラ2 –客船J号奇談–

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 客船J号は、その日の午後、R国のT港を出発した。  海上は()いでいて穏やかだった。  が、空は、どんよりと曇っていた。  しかし、その日は〝快晴の特異日〞だったので、J号の船長は、不安を抱きながらも船を出したのだった。  目的は、F国のH港だった。  船室は満杯状態で、十数人の男の客は、それぞれ読書やゲームや雑談をして和合(なご)んでいた。  その1人のKは、悪友のPとポーカーをしていた。  その時、Pは窓外に目をやり、 「なーんか、イヤな空模様だな……」  しかしKは、のんきにカードを見ながら、 「大丈夫だろう……。きょうは特異日なんだから」  やがて仲間のWが、箱入りのビールを1ダース運んできた。  それを見た客たちは、一斉に集まり、取り合いになった。  KとPもポーカーを中断して、Wと一緒に飲みはじめた。  天気はいよいよ荒れはじめ、J号の揺れも大きくなってきた。
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