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ディアンは割り込んでも良さそうな頃合いを見て、仲良しトリオに近づく。
「アンタたち、まだ居たのね」
ディアンの声掛けに反応し、うんこ座りでビルを睨んでいたパルグルがゆっくりと立ち上がった。
「よお、旦那! ちょっと色々やっててよ」
「色々?」
他にやる事なんてあったのだろうか。
考えながら周りを見渡していると、ある事に気がついた。残骸が更に散らかっており、共通して頭が無くなっている。
これの事かと何となく察し、ディアンはパルグルを見た。ある意味感心するように小さく息をつく。
「アンタ、ホントによく食べるわね」
「違げーよ。ビルに言われてコイツらの頭を…うおっ!?」
パルグルの背中にビルが飛び乗ってきた。
「レイくんは?」
ビルはコアラのようにしがみつき、肩越しにディアンを見ている。パルグルが「重たい、退け」と訴えても動く気配は無い。
ディアンは結界が張られている方向を親指でさした。
「向こうで待ってるわ」
「ウッヒョ〜!」
ビルは奇声をあげながらパルグルの背中から降りると、ルンルンと飛び跳ねながら歩いて行った。
空席となったパルグルの背中にアヴィが乗ってきて、コアラが交代する。
「おい、無言で乗ってくるな」
「楽しそうでしたので」
「ったく……」
パルグルは悪態を吐きながらも、後ろに手を回してアヴィを背負う体勢を作った。
という光景を、ディアンは不思議な物を見るような目で眺めていたが、こんな事でいちいち反応していたら今後身が保たないので無視しろ、と自分に言い聞かせる。
「こっちの様子を確認しに来ただけだから、アタシはもう帰るわ。アンタたちは?」
「そうですねぇ、ビルに言われた事はやりましたし……」
"ビルに" のあたりで、ディアンの眉間がピクリと動いた。
続けてアヴィが「我々も帰りましょうか」とパルグルへ声をかけると、パルグルは短く返事をして同意した。
胡散臭い気配を感じ、ディアンの目つきが変わる。
「アンタたち、一体何して――」
問いかけた直後、離れた場所から声が聞こえてきた。3人は同時に、聞こえてきた方を向く。
「フフフ、こっちだよぉ」
「おい、引っ張るな」
声と共に、結界の向こう側からビルとレイトの姿が見えた。ビルは嬉しそうにレイトの手を引いているが、レイトは迷惑そうにしている。
結界を張っておいた意味……!
ディアンは背中から翼を出し、レイトの元へ飛び出して駆けつけた。
真っ先に気付いたビルが、レイトを庇うように背中側に隠した。距離を詰めて着地するディアンに、ビルが口を尖らせる。
「ちょっとぉ。いきなり来られるとビックリするでしょ?」
「どうして連れてきたのよ」
「レイくんに見せたいものがあるんだ~」
口元だけへらへらと笑みを浮かべるビルと、ビルを鋭い目つきで睨むディアン。レイトがいまいち理解できない様子で2人のやりとりを見ていると、ディアンと目が合った。
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