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ウィンクをし、小さそうな厨房にチーズー!と叫ぶママ。キープボトルを目の前に、どかりと置いてきた。
「なんだか要ちゃんたら、顔色悪くなあい?」
言われて自分の顔を撫でる。
「そうかな?元々青白いし、気のせいだよママ」
にっこり笑いかけたら、ママは頬を両手で挟んで可愛い~!なんて言ってきた。
確かに童顔だけど、可愛いはないよな。苦笑し、ママが氷を入れたグラスを差しだすのを受け取った。
背も高く、筋肉質なガタイの良いママ。顔も男らしく、彫りが深い。
沖縄方面なのかな?なんて思いながら、グラスに酒を少しだけ注いだ。
毎回濃さを変えるから、酒を注ぐのは自分でしている。
ママが水を注いで、マドラーでくるりとかき混ぜてくれた。
「ママも飲んでね」
「ありがと~、頂くわあ」
グラスを合わせて、焼酎の水割りを口にする。
「あ~!ママだけずるい~!あたしも要ちゃんと飲みたい~」
背後からしなだれかかる、化粧の濃いお姉さま。胸が背中に当たるのは、わざとだろう。
「また胸が大きくなった?」
振り返り聞いたら、嬉しそうに両手で胸を寄せて持ち上げてきた。
「いいでしょ~、要ちゃんなら触ってもいいわよ~?」
遠慮して、好きなものを頼んでいいよ、と言いながらママを眺める。
腕についている筋肉の動きが艶かしい。太い首から、腕に流れる筋肉を想像して笑みを浮かべる。
裸が見てみたい。
じっと眺めていても、笑顔を絶やさないママ。客商売でも、こんなにじっくり眺められたら…嫌な気持ちになるかな。
「要ちゃんたらまた~!すぐママばかり見るんだからあ」
言われて、グラスを手にするお姉さまに視線を向けた。
むき出しの肩に目が行く。薄い皮に包まれた、骨張った肩。偽物の胸の膨らみよりは、魅力的。
「だって、好きなんだ」
あの体。
「ママ~、要ちゃんたらまぢ告りだよ~!羨ましいなあ」
「まだまだ私も、捨てたもんじゃないわね~!」
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