季節を越えて

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浅い所を緩やかに擦る動きに、義憲の頭をかきむしった。 「や、あ…義憲、義憲奥まで…あっ、はあっ、」 一気に奥を突かれて、ビクビクと体を震わせて白濁を撒き散らした。 「くっぅ、…裕也、後ろだけで、先、イくな」 「あっ、だっ…て、ああ、…いい、義憲、は…あっ」 何度も奥を突かれ、擦れる快感にたまらず乱され、涙が溢れ落ちる。 「んっ、はっ、イ、く…」 乱暴に激しく突かれ、再び俺はイき、つられるように義憲も俺の奥に熱い液を吐き出した。 汗をかいている義憲の体が、俺の上に倒れ込んできた。 そのまま強く抱きしめられ、それがものすごく気持ち良くて…泣きそうになった。 「はあ、裕也、最高…」 ずるりと抜け出そうとする義憲に、あっ、と濡れた声が漏れる。 「ふっぅ、裕也、締め付けんな」 「ん、んう」 中から出ていった義憲に、体の力を抜いた。 唇を寄せる義憲に、甘い余韻を味わう。 「相性、良いよな?」 唇を離してそう言う義憲に、俺は笑みを浮かべて頷いた。 そのまま寝てしまい、起きたら義憲はいなかった。 身を起こし、ベッドから降りて浴室に向かった。シャワーを浴び、後ろに指を差し入れ洗う。 浴室を出てから、テーブルに置かれた紙に気付いた。 冷蔵庫に飯があるから食べろ、と書かれていて、横にはシルバーの部屋の鍵が置かれていた。 胸に沸き上がる熱い塊に、思わずしゃがみこんだ。 叫びたい衝動を押し殺し、目をギュッと閉じて義憲を思い浮かべる。 こんなにも嬉しくて、こんなにも歓喜している。 数度しか会っていないのに。何も分からない相手なのに。愛しさが溢れ出していく。 瞑った目から、涙が溢れた。 止めどなく流れ落ちる涙に、独りで生きていくのが、こんなにも嫌だったんだと思い知らされた。 込み上がる熱い塊は、孤独の塊だったのか。 願わくば、この幸せが長く続いて欲しい。 手を組み、額を押し付け願った。 季節を一つでも多く一緒に過ごしたい。 出来れば何度でも、同じ季節を迎え、一緒に過ぎていくのを感じたい。 季節を越えて、いつまでも。 終
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