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「そら、どうゆう意味だ!三郎太」
次郎太が立ち上がり睨むのを涼しい顔で、かわすと
「少しの差で産まれただけで、三男にされて広報担当なんて、やらされると言いたいくなってね」
「フン、それは俺も同じだ!」
次郎太は苦虫を噛み殺したような顔で
「兄貴が取り仕切ってるような、この現状に虫酸が走るぜ、古谷さんも、そこにいる鮫島一葉さんもアイツにべったりだしよ!」
また始まった、と吉沢がカメラから目を離し呆れた顔をすると原田が
「古谷さんというと、先ほど私に失礼な態度をした人ですね?」
「ごめんね、原田さん。古谷誠さんは、祖父の代から働いてくれてる人なんだけど、ちょっと融通が効かなくてさ」
三郎太はニコリと笑ってみせる
「僕は心の広い人間ですからね、大丈夫ですよ」
「原田さんは立派な人だな」
吉沢は脅迫状が何通も来て大変な時に、あんな丁寧な断りしてくれる方が立派だと思うけど…と心の中で思った。
「フン、俺が経営権を握ったらロートルには退散してもらうけどな」
次郎太は、そう言うと、ずっと無言のままで立つ鮫島一葉に
「あんたも、兄貴になんかに、ついてないでコッチについた方が特だぜ!」
と言い放った。
吉沢はオロオロと鮫島の顔を見るが彼女はクールな表情のまま何も答えずにいる。
「次郎太兄さんは過激すぎるよ、もっと、おおらかに構えないと従業員は、ついてこないよ」
「こうゆう性格なんでね。だが経営権を握ったら俺も親父みたいに変わるかもな…そういや兄貴も変わったな」
「そうなんですか?」
吉沢は口から出た言葉にハッとすると原田が、じとっと睨むのがわかった。
「そうだね、事故に合ってから、ずっと家に引きこもってたんだけど、ある日、仮面を被り始めてビックリしたよ」
三郎太は首を捻る
「ああ、あの控え目な性格の兄貴が、道化を演じるなんて俺も驚いたぜ」
次郎太もうーんと唸った
「実は別人だった、なんてことあったりしたら驚きですけどね」
そう原田は意地悪そうに笑ってみせた。
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