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四人で、しばらく談笑したあと一旦、鍵を取りにフロントに行くと
一朗太の前に沢山の従業員が並んでいた。
「チッ、また何か勝手にやってるぜ」
次郎太が睨みつけるなか、一朗太は
「しばらくお休みをします。再開の時には連絡いたしますので、今日は皆さん、お帰り下さい。遅番の方にも先ほど連絡したしたので、報告の引き継ぎも結構です」
従業員がざわめきの中で去るなか、次郎太と三郎太が一朗太に摘めよってきた。
「しばらくだと?このホテルを潰すつもりかよ兄貴!」
「こんな事を勝手に決めて、どうゆうつもりだい一朗太兄さん」
「脅迫状の犯人が見つかるまでの辛抱だ。もし、お客様に何かあった場合、その方がホテルの沽券に関わる」
一朗太は、仮面の奥の目を強めて睨らむ
「犯人ったて、どう見つけるつもりだよ兄貴」
次郎太の言葉に
「脅迫状を先ほど来た警察官の方に渡しといた、いずれ見つかるだろう」
「いずれ、て…それまでホテルは休むつもりなのかい?」
三郎太が呆れた声をあげると
「そのつもりだ」
「アホらしい、そんな事してたら本当に潰れちまうぜ」
次郎太が頭を抱え後ろを向くと一朗太は
「ホテルは潰さない。命に変えてもな」
「わかったよ。今は一朗太兄さんに従うよ。でも一週間、何も起こらなかったら経営を降りてもらうよ」
三郎太がニヤリと笑うと
「…いいだろう、だが、お前に、このホテルを纏める力は無いと思うがな」
「どうゆう意味だよ!」
「言葉のままだ」
三郎太が鬼の形相で睨むなか、一朗太は振り向き、まだ残っていた古谷誠に声をかけた
「古谷さんも、お帰り下さい」
「いえ…私もここにいます」
「しかし…」
「一朗太さま、私は50年ここで働いて来ました。このホテルの為に力になりたいのです」
古谷の力強い目に一朗太は、しばらく目を閉じたあと
「わかりました」
そう次げたのだった。
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