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「あっ!私、エブリスタ出版の原田と申します。後ろの方は作家の百瀬禄郎先生です」
百瀬が固まるなか、原田は動じることもなく名刺を渡し、男は受けとるとフンと鼻を鳴らした。
「ホテルへの取材ですか?話は聞いてませんが?」
「いやーホテルではなく、あなたの家にあるであろう本を探しに…所で、あなた何故仮面なんかつけてるんです?」
「原田くん失礼だよ!」
百瀬が焦りながらペコリと頭を下げたが、男はジロリと仮面から見える目で睨み
「あなたがたに説明する必要はありませんが」
「…そうですよね、すいません。突然お邪魔して」
百瀬は恐縮して何度も頭を下げると
「どうしたの?一郎太兄さん」
そこに白のハーフセーターにジーンズを履いた、さわなかな青年が顔をだした
「三郎太…」
「あれ?この人たちは」
三郎太と呼ばれた青年はニコニコと笑い近づいてくる
「記者さんだそうだ…」
「どうも原田と申します、あちらは百瀬禄郎先生です」
原田は笑いかえすと
「実は、ある本を探してまして、お邪魔してもかまいませんか?」
「おい!原田くん」
百瀬は睨む一郎太に何度も頭を下げ
「もう帰ろうよ」
「何を言ってるですか!先生。そんな事だなら売れない作家なんて呼ばれてるんですよ!」
「説教はあとで聞くから…こちらに迷惑だろ退散しよう…」
と2人が話てると
「いいですよ」
三郎太がニコニコ笑って答える。
「おい!三郎太」
凄む一郎太に三郎太は
「いいじゃない一郎太兄さん」
その言葉に原田は歓喜の声で
「そうですか!ありがとうございます」
と満足顔で手を握った。
「本を探してるでしたね。うちの倉に古い本が仕舞ってあるから、行きましょうよ」
睨む一郎太を無視し三郎太は、笑顔の原田を迎えるなか百瀬は、青い顔で仮面を被った一郎太の横を顔を下げて入っていった
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