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「へぇ殺人が起きる絵本か」
案内された倉で、三人は古い本を見ているなか
三郎太は目を輝かせた。
「そうなですよ、まったく不思議なのですが…この百瀬先生曰く呪いではと」
「呪い?」
原田の言葉に三郎太はニコニコと百瀬を見る
「いや…まあ信じられないかもしれないですが、その野々宮清順の書いた絵本がある場所では凄惨な事件が起きてるのは、確かなんです…」
「その絵本が、うちにあると考えてるんですか?百瀬さんは」
「そ、それは原田くんが思いこんでいるだけで」
しどろもどろで答える百瀬に原田は
「ありますよ。この土地には鬼が住んでるんですから」
「鬼哭湖のことかい?」
三郎太はニッと笑い
「確かに湖には、そんな言われあるけど…残念ながら僕は鬼なんか見てないなあ…名字は九鬼なんだけどね」
「ほら、原田くん。君の思いすごしだよ。もう帰ろよ」
「先生、やる気あるんですか?僕は諦めませんよ」
原田の空気の空回りする、やる気に百瀬はがっかりと肩を落とした
「フフフ面白い人たちですね」
三郎太の笑顔に百瀬は頭を下げると、原田は書物をペラペラ捲りながら
「所で君のお兄さん…なんで仮面なんか被ってるんだい?」
「ああ、ビックリしますよね。一郎太兄さんは数年前に交通事故に合いましてね、顔に、ひどい怪我を。まあ何回か手術すればマシになるみたいですが…ホテルに来る人のために、あんな仮面を」
「なるほど、あのメルヘンなホテルに酷い顔を晒せないわけですね」
「原田くん!失礼だよ」
「かまいませんよ百瀬さん。本当に醜い顔になってますから」
そう冷たく三郎太は笑ってみせた
「三郎太」
その声に三人が振り向くと、紺のジャケットの短髪の男が倉の前で腕組して立っている
「なに?次郎太兄さん」
次郎太と呼ばれた男は腕組しながら
「親父がくたばったぜ!兄貴が集まれてよ」
「ふーん、ようやくか」
三郎太は冷たく、そう呟くと
私たちに笑顔で向き直り
「すいません。ということで行かなきゃいけなくなりました。お探しの絵本が見つかったら連絡しますよ」
原田は笑顔でペコペコ頭をさげ
「そうですか?すいません。これ連絡先です」
そう笑ってみせる
「この度は、とんだときにお邪魔してしまって…」
百瀬は笑い合う2人とは対象に深刻な顔で言うが三郎太は
「大丈夫ですよ。また来てください」
とニコリと微笑んだ
帰りのバスの中、原田の小言を聞き流しながら、百瀬は九鬼三兄弟に不穏を空気を感じずにはいられなかった
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