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ウィーンとモニタールームのドアが開いて、誰かが入って来たようだが、私はモニターを一心に見つめていて気がつかない。
「……エフ!?何見てるのーー!?」
いきなり声をかけられてビックリした。ビクッと肩が上がってしまった。
「あぁ、ビックリしたわ 」
同僚のアールが頭をかきながら、
「エフってば、驚きすぎだよ。こっちの方が驚いた…… 」
私が見ていたモニターをアールが見ると、心配そうに、
「どうしたんだ?これ…… 」
そう言いながらアールは私を見た。
私は泣きそうになるのをこらえながら、
「風邪、引いちゃったのかしら……?少し具合が悪そうなの 」
一滴、涙が溢れてしまった。
アールが慌てたように、私の背中を撫でてくれた。
「これはエフのせいじゃないでしょ?」
「うん、それはそうなのだけど。悲しくて……私には、見てるだけで何もできないもの 」
私はもう一度モニターを見た。
目の前に、青く美しかった地球がある。美しかった…… 今、目の前に映っている地球は所々に茶色味がかっている部分がある。何かの病にかかっているのかもしれない。以前と比べて少し元気がないように見える。
「エフ、これはまだ調査案件じゃない。ほら、元気出しな。……ところで他の星は大丈夫?」
私は、はっとしたように他の星もチェックを始めた。
「太陽が……いつもと少し違うかしら」
アールは、じっと太陽を見つめ、そうだねと、つぶやきながら、
「この感じなら、大丈夫じゃないかな?でも、モニターは続けた方が良いかもしれないね。所長に報告しておくよ 」
「……はい。お願いします 」
アールはモニタールームから出て行った。
私は、モニターを操作して、再び地球の画像を映した出した。ほんの数日前までは、青く美しかった地球を思い浮かべ悲しくなっていた。
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