立ち合い

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立ち合い

 扉の中は、外よりも増して切迫感のある空間だった。  全身に布地ーーこれも白いーーを纏った人間が五名、男女混合で、台座を囲むように円を作っている。  それぞれの動作は無駄がなく機敏で、その眼差しは中央に注がれている。  台座の上には女性が一人、横たわっていた。 「あのご婦人が」 「そうです。あの方が祝福される方です」  白装束の輪に近付くが、やはり誰一人、男と青年に気を留めない。  女性が子をなそうとする緊迫した状況だと分かりながらも、不自然なほどに、二人の侵入者は注目を浴びない。  自分達の姿は見えていないのだ、と彼は了得した。  先を歩く青年は医療に携わる人々の間に入り、女性の傍らに立つと静かに微笑んだ。  
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