黒と緑3 [7]

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臍が見えるまでスカートを上げてみると、白い太腿の上には黄緑のパンティがあった。どういうことなのか。 「ボケちゃったの?」 「そんなわけないでしょ! わざとよ。……もう一回だけ試したかったの。アンタのこと」 彼女は空いた片手で顔半分を隠し、横へ向いた。 「私に疑われて、攻撃されたらどんな反応をするのか見たかった。そういう時に人の本性が垣間見えるじゃない。信用できない人間に大事な作戦は委ねられない、し」 作戦というのは、彼女が以前言ってた学園の外へ抜け出すことだろう。でもそれは、保護者に許可をとらなければ駄目だと説いた。一旦家へ戻っても必ず連れ戻される。でも翠子さんは「それなら外で、自分の力で生きていく」と言った。 生きてくって、普通の高校生より外を知らない高校生がどうやって? バイトを必死にして食べるものには困らなくても、家を借りるのはどうする。それこそ危ない仕事で住み込みをするしかないんじゃないか。まっとうな機関に助けを求めれば、必ず親元に帰されるのだから……翠子さんはそういうことをまるで考えてない。ただ漠然と、何とかなると思っている。時々歯痒く、そして愛しい。成長するにつれて失ってしまった純粋な心をずっと持っている。 尊い。 「玄咲は……どうして怒らないの。濡れ衣を着せられても平然としてられるの」 「翠子さん以外のことならどうでもいいけど。翠子さんに疑われたなら、全力で誤解を解くわ。だって貴女のことが大好きだから」
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