桜男の変貌

1/1
前へ
/7ページ
次へ

桜男の変貌

静けさを打ち破り 俺は天を見た  無数に揺らめく緑の波間に光る青 姿なき心地よい空気の流れは俺の 長すぎた暗闇での歴史を(いや)すよう ふうわりとした甘い香りを運んで 俺の存在は新しい何かに変貌する 高い青い天空の彼方から降る雨は 激しさで俺を鍛え打ちのめしては 優しさで俺を支え新しい力を与え 光と闇を繰り返しながらゆっくり 俺は天に向かい枝を広げていった 太陽と月と地球との引力に素直に 俺は生きていた
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加