君に捧げる花・あなたに贈る花

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 生姜焼きを噛みちぎりながら、晴樹が階下に目を向けた。その目は甥っ子の不慮の事故を心配するというより、面白いネタに食いつく野次馬のそれだ。 「いや、婆さんじゃないよ。割と可愛い女の人だった。ほら、あの青い屋根の家」  晴樹さんにごめんねと、ふざけて言っていた真弧を思い出し、睦の口角は自然とあがる。 「それって、ゼラニウムの花が咲いてる家?」 「ゼラニウム? 花はあったけど、どんなだったかな。てか、晴樹さん花の名前くわしいんだね。ゼラニウムなんて初めて聞くよ」  自分よりもうんと無頓着だと思っていた叔父から洒落た花の名前が出てくるとは。甥からでも割と男前に見えるから、昔はプレイボーイだったのかも。そう思って晴樹を振り返ったが、睦と目が合う前に、晴樹は「寒い」と言って室内へと戻ってしまった。
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