終焉を

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「なるほどなるほど。そんな夢を見たということは、君にとっての『終わり』というのは、そういうものなのかもね」 「……いつも通りと言えばいつも通りの返事ですが、今日ばかりはその返答では不満です」  子供の話を聞いた親のような反応で、なんだか煙に巻かれたような気がした。  きっと今の私の反応も、部長からすればむくれた子供のように思えているのだろう。  それでも不服なものは不服だ。何らかの形で伝えなければ、相手には伝わらない。 「言葉が足りなかったろうね。そうだとも、こうした方が君の食いつきがいい。  からかうのは止すとして、言葉の通りだよ。『終わり』というのは、人により違うものさ。  昔話ならば伝わりやすいだろう。めでたしめでたし、と締められた所でおしまいかどうかだ」  ──例えば、桃太郎。  鬼を退治して財宝を手に入れました、めでたしめでたし。  確かに、私はそうは思わない。
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