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スクエア
あのヤロウ。また、笑みを浮かべてやがる。
「どうした。今日は目線が下ばかり見て、らしくない」
「何だか、ペースが掴めない」
「おいおい、そんな事言ってる間に終わってしまうぞ!」
セコンドのオヤジが声を荒げていた。
「分かちゃいるけど、、、どうしたもんかね」とセコンドの言葉を軽く流した。
カーン!
第3ラウンドのゴングが鳴る。
セコンドさがって! ファイト!
おっと挑戦者の沖田、ジャブを1.2.3と続いていく。開始早々にチャンピオン!またジャブを喰らう、喰らう。
ちっ、またコイツ笑いやがった。
このやろう。いい加減にしろや。と意気込むが一向にパンチが当たらない。
なんせ、ジャブの軌道が読めない。さっきから妙な動きをしやがる。中々、懐に入れない。
チャンピオンたまらず、クリンチ。
「男に抱きつかれる趣味はないねぇ、チャンピオンさん」
沖田、チャンピオン身体を離しボディから1.2.3.4とチャンピオンに叩き込む。
チャンピオンダウーン!!
たまらず、チャンピオン膝をついた。
ハァ、ハァ、ハァ、ハァ。
クソっ。
「立てるか?」レフリーが近づいてくる。
「当たり前だろ。チャンピオンだぞ。こちとら、こんなとこで足踏みしてられるか」
チャンピオン立ち上がった。
あと2分。
チャンピオン大振りのパンチを繰り出すが、沖田には当たらない。チャンピオンの上体が大きくズレる。そのチャンスを見逃さない沖田。上下のコンビネーションを叩き込んだ。
またまた、チャンピオンのパンチだが。
あ、チャンピオンのパンチを避けたはずの沖田がよろけ、右眉から出血をしている。
ハァ、ハァ、ハァ。
--へ、なんでだ。出血してやがる。
カーン!
コーナーに下がって。
「おい、大丈夫か?」
「あ、ああ。なんとかな。何故?沖田は出血した?」
セコンドは氷枕を両手で、顔に押し付けながら言う「最後の大振りのパンチ、肘が眉をかすめた」
「狙え、とことん右狙いだ」オヤジの声が耳に響いた。
「セコンドの言うことか?俺はチャンピオンだぞ」
「勝たなきゃ、チャンピオンもヘッタクレもねぇ。デコをぶつけたって良いぞ。右は見えてねぇからな」
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