スクエア

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カーン! 第4ラウンドのゴングが鳴った。 右、右って・・・当たんねーもんは狙いようがねぇ。 沖田の表情が強張っている。あんな顔もするのか予想外だな。期待の新人さんが初めて陥る窮地。それが、ロートルチャンピオンとのタイトル戦なんてな・・・強え、こんな新人と当たるなんて本当についてないと思ったが、お前もタイトル戦に右目出血なんてついてないな。 同情するぜ、坊主。 おっと、沖田が勢いよくチャンピオンに迫る。右からの左、早い早い。 ガキが・・・早すぎる。 くはぁ。 チャンピオン、またまた食らった。 「おい、俊樹(としき)、右だ右〜」 うるせぇ、オヤジだ。狙ってんだよ、でも当たらねぇ。 ん⁈ しゃあねぇーー踏むか。 バシっ。 おっと、チャンピオンの左フックがチャレンジャーの右目に炸裂する。 沖田、ふらつくが何とか堪えた。 一気にチャンピオンたたみ込む、連打だ、連打。 堪らず沖田、クリンチ。 「どこまでも、汚ねえ奴だ。それでもチャンピオンか?」と息を切らせながら、沖田は自分に持たれ掛かった。 「抱きつくのは、嫌いなんだろ離れろよ」 チャンピオン、沖田を剥がして連打を続ける。 カーン! 第4ラウンドが終了した。
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