第10章

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      決意した暦が方向転換したのと同時に、暦の腕はリョクの手に勢いよく掴まれていた。  暦の身体がリョクの両腕の中にスッポリと納まり、そのまま暦の骨が折れてしまいそうなほどに、暦が息苦しく感じるほどに、強く、深く、抱きしめられる。  これにより、暦の両腕もリョクの背中に回される。  雪道に作られたリョクと暦の足跡が、降り積もる新雪によって跡形もなく消されてゆく。  街路樹が果てしなく続く錯覚さえもする雪景色が、妖しい言霊を囁きながら誘惑してくる。  吹き抜ける風を引き連れて、この後、リョクと暦が何処へ向かい、何処に姿を消したのかを知っているのは、サンタクロースに扮装した恋の魔術師と、その魔術師に魂を売ってしまったトナカイだけなのかもしれません。  ♚ ━━━ Fin ━━━ ♚        
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