第1章

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          今日は休日、暦は朝早くに起床して自宅を出た。  そして駅に向かい、電車に乗り、電車を降りてからはほとんど休む事もなく歩き続けている。  暦はずっと、お洒落な店舗ばかりを見て廻った。  そんなお洒落なお店に入店するのは、とても気後れしてしまうのだが、暦は勇気を振り絞ってでも入店する。  場違いだとは重々自覚していたが、アクセサリーショップにも入り、腰を低くして、おずおずとした足取りで店内を見て廻る。  アクセサリーショップといっても本格的なジュエリー店ではなく、若者が気軽に身に付けられるような商品が数多く置いてある雑貨店だ。  入店してから暫くすると、店員のほうから暦に声を掛けてきた。 「いらっしゃいませ。どのような商品をお探しでしょうか?」  暦は一瞬、派手な色の頭髪に奇抜的なファッションをしている男性店員に怯んでしまい、(ほう)けてしまった。  男性店員は、耳や首回り、手首にと、目障りなほどにアクセサリーをジャラジャラと身に付けている。  年齢は二十代前半から半ばといったところだろうか。いや、十代後半にも見える。年齢不詳という表現がしっくりくる男性だ。        
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