*11 それでもやっぱり

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「先生に会ったんですかー!?」 青山さんの声が図書館中に響き渡る。 青山さんは自分の口を押えて回りをきょろきょろと見渡した。 先生に会った次の日、俺は報告もかねて図書館へ行った。 一応協力してもらってたから言っといたほうがいいかなと思って。 「それでそれで?!久しぶりの再会はどうでした?!」 「どうもこうも、俺なんて最初っから眼中に入ってなかったみたいです」 投げやりにそう言うと、青山さんはあからさまに怒った顔になった。 「そんなわけないじゃないですか…!私ずっと2人を見てたんですよ!?気がないならどうしてあんな目であなたのこと見たりするんですか…!」 「あんな目…?」 青山さんの熱量が半端なくて、呆気にとられる。 ここは図書館だというのに、青山さんはそんなことお構いなしだった。 「そうです、何かを愛おしむような、愛でるようなあの眼差し!絶対に好きじゃなきゃあんな顔であなたのこと見てませんって」 「いや…」 先生がそんな目で俺を見ていた…? あんまり想像できない俺は、青山さんの妄想の話なのかなって思ってしまう。 「でも、俺また先生にひどいこと言っちゃって」 「怒ってましたか?」 「相当怒ってました。もう2度と会いに来ないでって」 「怒るってことは、そこに感情があるからですよ」 「え?」 「もう会いに来ないでって言われて、あなたは本当にそれで諦めたんですか?もう会わないつもりですか?」 「だって、じゃあどうすれば…」 「がっかりしました。その程度の気持ちだったんですね」 「は?」 なんだよ、その程度の気持ちって。 「もういいです、違うターゲット見つけますから。今までありがとうございました」 そう言って頭を下げて青山さんはカウンターへ戻っていった。 なんだよそれ。 いいわけないじゃん。 俺だってまた先生に会いたいよ。 でも会ってもまた先生を傷つけてしまうだけ。 それなら会わない方がいいのかなって、思うよ。 どうすればいいんだよ。 俺はすぐに図書館を出てアパートに帰った。 そのままベッドに倒れ込む。 くそっ。 イライラする。 そのイライラは誰に対するものなのか、なんでこんなにもイライラしているのか分からない。 ただ自分が不甲斐ないことだけは分かる。 ポケットに入れていた携帯が鳴って。 力なく画面を見ると青山さんからだった。 連絡先を交換してから初めて連絡が来た。 さっきのことかな。 内容を開けてみると、 ”今日、図書館に加ヶ梨さんが来ました” とだけ書かれていて。 くそっ…。 なんでだよ…! 俺は跳び起きて、また図書館へ向かっていた。
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