*最終章 本当の気持ち

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10月15日(土) 風邪を引いた。 全然寝れなかった。 どうしよう。 里巳くんに抱きしめられた感覚がずっと残っている。 ダメだって分かってるのに。 里巳くんのことが頭から離れない。 10月17日(月) どんな顔をして里巳くんに会えばいいのか分からなかった。 家に忘れていったブレザーを返したいのに、ずっと返しそびれている。 図書館にも行かなかった。 里巳くんがいたらどんな顔をすればいいか分からないから、逃げるしかなかった。 10月21日(金) 里巳くんがアパートに来ていた。 遅い時間に帰ったから、ずっと待ってたんじゃないかって心配になった。 里巳くんはブレザーを探しているみたいだった。 ずっと返せなくてごめん。 里巳くんの気持ちには応えられないから、好きな人がいるって言った。 もう里巳くんに深入りしない。 そう決めたのに、今まで通り、先生と生徒として接してほしいって言われて、胸が苦しくなった。 里巳くんが帰った後も、これでいいんだって何回も自分に言い聞かせた。 11月2日(水) 里巳くんがまた倒れた。 もう二度と大切な人を失いたくない。 もう二度とあんな思いをしたくない一心で、私は出来るだけ里巳くんのそばにいた。 里巳くんは帰っていいって言ってたけど、帰れなかった。 疲れていたのか病室で寝ちゃってて、夢で里巳くんが私の名前を呼んだ気がした。 私の髪の毛に、何かが触れている感触がやけにリアルで。 夢で里巳くんが言ってた言葉が、起きた後もずっと頭に残っていた。 本人から聞かないように逃げていたあの言葉を、夢で聞くなんてどうかしてるよ。 11月17日(木) 文化祭の日。 柾木くんから、里巳くんが保健室に行ったって聞いて、慌てて保健室へ向かった。 めちゃくちゃ心配したのに、里巳くんが女の子とキスをしていた。 なんだ、仮病かって思った。 それを見た瞬間から涙が止まらなくなって。 自分でも意味が分からないくらい、感情が錯乱した。 私のことなんて放っておいてほしかったのに、里巳くんは私を追って来た。 聞きたくて聞きたくなかった言葉を言う里巳くん。 それでも私はその言葉を素直に受け入れることができなかった。 どうしたらいいのか本当に分からない。 11月18日(金) 里巳くんと目が合っても、今までみたいに、逸らすことができなかった。 12月1日(木) 学校の図書室で資料の整理をしていたら、里巳くんがきた。 里巳くんと出来るだけ会わないように、図書館に行ってなかったのに。 2回目の里巳くんからの告白。 うまくかわすことができていたのか、自分でも分からなかった。 職員会議で、吉田先生が産休から戻ってくることが告げられた。 ずっとこのクラスでやっていくんだって錯覚していたけど、そっか、臨時だった。 そっか。 さびしい。
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