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12月2日(金)
吉田先生の復帰と、私が2学期でお別れする話をクラスですると、生徒たちは悲しんでくれた。
ほんの少しの期間でも、こうやって慕ってくれたことが本当に嬉しかった。
不意打ちに里巳くんに呼ばれて、ダメだった分かってるのに、ズルズルと里巳くんのペースにのみ込まれていった。
ずっと頑なに守ってきたのに、一瞬で崩れた。
崩してしまった。
こんな私が人を好きになる資格なんてないのに。
里巳くんの愛情に溺れたいと思ってしまった。
里巳くんのキスを拒むことができなかった。
里巳くんは私が学校を辞めた後も会いたいと言ってくれて。
すごく嬉しかった。
12月7日(水)
里巳くんと図書館で会うようになった。
喋ったりしないけど、なんとなく里巳くんが近くにいるだけで温かかった。
でも、本当にこれでいいのかな。
いいはずないよね。
12月22日(木)
学校最後の日。
臨時でも初めてもったクラスの生徒。
今日で最後かと思うとすごく悲しかった。
それ以上に、もう里巳くんとも会わないって決めたから、その決意が揺るがないように必死だった。
1月10日(月)
里巳くんとの約束を破って、私は引っ越した。
里巳くんと会ってしまうと決意が緩んでしまいそうだったから。
それなのに。
自分で決めた事なのに、里巳くんのことばかり考えてしまう。
もう誰かを好きになることなんてないと思ってた。
なのに気が付くと勝手に図書館に向かっていて、里巳くんの姿をみてハッとした。
もう会わないって決めたのに、なんでここに来てんのよ…。
ずっと罪悪感でいっぱい。
自分の感情なんて消えてなくなればいいのに。
もう何も考えたくない。
***
「なんだよこれ、俺のことばっかりじゃん…」
先生の日記には俺の名前が何度も出てきて、胸が締め付けられた。
俺は先生と出会った頃から、先生に対して常に必死だった。
でもそんな俺とは正反対に先生はいつも余裕そうに見えていた。
先生がそんなことを思っていたなんて、全然知らなかった。
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