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日記を読み終わる頃には、チャーハンが綺麗に盛り付けられてテーブルの上に置かれていた。
「早く食べよ」
日記を読み終わって顔を上げた俺に向かって、笑顔を見せる先生。
俺はいてもたってもいられなくて。
そんな先生を後ろからギュッと抱きしめた。
「先生なんで日記、読ませてくれたの?」
「なんでだろう。私の気持ちも里巳くんに知っててほしいって思ったからかな」
そう言ってくれた先生の気持ちが嬉しくて。
日記も、本当に信じられないくらいの内容で。
焦って空回りばかりしていた昔の自分に、教えてあげたくなった。
「せんせ」
俺が喋ろうとすると先生は俺の方を向いて、俺の口元に人差指をあてた。
「もう、先生って呼ぶのやめない?」
まさか先生の方から言ってくれるとは思っていなかった。
ずっとずっと呼びたかった先生の名前。
「いいの?」
「いいよ」
先生の目を見つめながら、先生の名前を呼ぶ。
「莉子」
名前を呼ぶだけでこんなにも緊張して。
「なに、夕惺」
名前を呼ばれるだけでこんなにもドキドキする。
「莉子とキスしたい」
そう言って顔を近づけたタイミングで先生のスマホが震えた。
「ちょっと、ごめん」
そう言いながら先生は電話に出た。
こんな時に、電話の方を優先させる先生にちょっとムッとした。
「もしもしお兄ちゃん?あ、ごめん。大丈夫だよ、なに?」
先生が喋っている相手は先生のお兄さんか。
すぐ終わると思って待っているのに、長い間喋り込んでいて、お預けされてる時間がじれったい。
せっかくの2人の時間なのに。
お兄さんに邪魔されて退屈だった俺は、先生の肩に頭をそっと置いて、腰に腕をまわした。
「わっ…!うんん、なんでもない」
俺の行動に先生はびっくりしたようで。
先生が声に出すから、お兄さんもどうしたのか不思議に思っているみたい。
こんなことで反応してしまう先生が、可愛くてしかたない。
俺は、先生が電話中で抵抗できないことをいいことに、自分の唇を先生の首筋に這わした。
「っ…!うん、うん…。分かった」
先生、声我慢してる。
かわいい。
電話を切った後。
「ねー!電話中は変なことするのやめてよ…!」
「電話中じゃなければいいんだ?」
「そう言うことじゃない…!」
「かわいー、先生。ホントかわいい」
そう言って、先生の頬に手を添える。
「バカっ」
照れたようにそう言う先生も、かわいくてしかたなくて。
「莉子」
「…なに?」
「んー?呼んでみただけー」
「なにそれ」
先生は満面の笑みで笑って。
そんな先生に俺はどんどんハマっていく。
俺の全部、先生に溺れていく。
.END
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