移り香

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ソファの上で体育座りをして、回想にふけっていると不意にインターホンが鳴った。 重い腰を上げ、つかさは玄関へと向かう。 「早かったね」 ドアを開けると、ヘルメットを持った圭介が立っていた。 なかなか部屋に入ろうとしない圭介に 「入らないの?」 と聞くと、圭介はヘルメットを軽く持ち上げ、 「外で話そう」 と言った。 つかさはため息をつき、 「準備するからちょっと待ってて」 と言っていったん部屋へと戻った。 パーカーを羽織り、リビングの棚の上に置いてあった香水を手首に吹きかけ、両手首をこすり合わせてそのままうなじにもつけた。
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