感情のない少年

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感情のない少年

私がその少年に出会ったのは強い雨の降る日、公園で独り叩きつけるような雨を一身に浴びながらベンチで少年は座っていた。 風邪を引いてしまう、そう思った私は反射的に直ぐに少年の所へ駆けつけ傘に入れた。 その日は私は彼氏に振られた日だった。 気分は最悪なのに、何故かこの少年を放置していたら悲壮感が加速して苦しむと思ったからだ。 「キミ、大丈夫?」 私が引きつった笑顔で言うと、少年は私の傘の中で何も言わずに私を見上げた。そして、そのまま見つめられていた。 「寒くない? 悪寒とかしない?」 私がなんと言っても、少年は何も言わずに、ただ私を見つめていた。 目に光がなく、まるで感情の無いロボットのように感じた。 何故、このような経緯になってかは覚えていない。 何かが複雑に絡み合って、この様な経緯になったのだろう。 男に振られた女と、心が何もない様な少年。 奇妙な組み合わせ。 しかし、天気が晴れ、傘が必要がなくなり少年はびしょ濡れのまま、ベンチから立ち上がり私の傘から出ていき。 「さようなら」 と一言言って消えていった。 私は呆気に取られ、止めることも声をかけることも出来なかった。 ただ……「私をなぐさめてよ……」その一言が零れ落ちた。
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