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「できないこともないけど、わざわざゼロから組み上げるなんて労力の無駄――っつーのが当人の弁。 ただそれ以前に、有事を想定すると現地の監視はマーリンにしか任せらんないからさーぁ…」  少しばかり申し訳なさそうな苦笑いを浮かべて義兄は事情を語る。 確かに有事――魔瘴風と呼ばれる魔界の魔力()が地上に漏れ出たことによる問題が起きた場合、 一番適切に対処できるのはマーリンさん――神都で最も優れた神廷魔導士(まほうつかい)である彼をおいて他に適任者はいないだろう。  …となれば、必然的に根本の解決は、マーリンさん以外の誰かが担わなくてはならないわけで――… その候補に前任者を頼るのは妥当だと思う。 思う――…のだけれど、前任者――の、孫を頼るのはどうなんだろう……。 その子供(むすめ)を頼るならまだしも――…って言ってもお母さん、 錬金術としては|一人前《・・・》だったらしいから、 お母さんが生きてても結局は私に話が回ってきてたかもだけど……。 …コレ、結構問題(・・)としては重要というか危機的な問題(ハナシ)…だよね? 純粋に(・・・)、私以外にもっと適当な専門家(ヒト)がいると思うんだけどなぁ……。
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