いつもじゃないんだけど……。

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いつもじゃないんだけど……。

 病院の朝は早い。頭床台に置いた目覚ましの針は六時過ぎを指している。病室は三階で南側の一番端、いわゆる角部屋にある。閉めてあるブラインドの隙間からキラキラと太陽の光が射し込んでいた。    もう少し眠ろうと、高校二年の宮崎理央(みやざきりお)は、布団に潜り込んだ。外はやけに騒々しい。朝の検温が始まっているのか。    少し眠っていたのか、シャッとブラインドが上がる音がしてキラキラとした朝の光に起こされた。   「おはよう、宮崎くん! すっごくいい天気よ」    んん〜と、窓際で看護師が大きく背伸びをした。彼女の名は立石詩織(たていししおり)。理央の担当看護師だ。彼女によると年齢は二十五歳らしいが、十八歳である理央と同い年にも見える。    太陽の光がナースウエアを通り抜け、その下で彼女の胸と腰を包む下着を浮き上がらせる。その日は水色のTバックとブラジャーだ。ボクサーパンツの下の理央が大きく背を伸ばした。痛い程に……。   「じゃあ、体温測ってね」   「……はい」    身体が熱かった。詩織に自分の身体の変化を知られるかもしれない、と思うだけで余計に固さを増す。思わず詩織から目を逸らせた。    ピピピ……、と体温が測れたことを電子音が伝える。理央は体温計を詩織に手渡した。   「……三十六度五分っと、……だけど宮崎くん……」    詩織の指先がパッドのスクリーンをタップした。   「……うん……」   「宮崎くんの顔、少し赤いような……」    詩織の顔がアップになる。透明なリップクリームを施してあるだけの肉厚の唇が近づく。前髪を上げられ、彼女のゆで卵のような冷たい額が当たった。    ボクサーパンツの下が大人しくなった。   「うん……大丈夫……」 「ああ……」    詩織の不意打ちに声が出なかった。   「もしかして、宮崎くんって……緊張してる?」    理央の心臓がドドドっと鳴った。ゴクリと鳴った音が部屋に響いた。また、ナースウエアの下が頭をよぎり、心臓が早く打った。   「えっ……」   「図星?」   「ベ、別に、仕事忙しいんだろ? 早く行ってよ」    詩織の涼しげな目が覗き込んでいる。化粧の匂いか、フワリとした甘い香りに包まれる。
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