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プロローグ
『 ぁあッ!ンッ! 』
「 はぁー……っ…… 」
吐息の混じる女の喘ぎ声と密かな男の乱れた呼吸
ベッドのスプリング音が彼等が動くと共に音を立て、真っ白なシーツに沈む身体は汗と欲に濡れる
男は柔らかくシルクの様な長い金色の髪へと指を滑らせ、首筋に付く髪を取るように動かせば、肩へと手を移動させ身体を下げ、深く奥へと熱い陰茎を埋める
『 あ、うっ!んんっ……ぅ、ぁ… 』
グッと肉壁を擦り上げ、膀胱や子宮へとまるで欲を掻き立てる様に刺激する腰の動きに、
この行為が初めての彼女は、顔は真っ赤に染まり、中をきつく締め付けた
「 くっ…… 」
陰茎の締め付けた感覚に男は小さく呼吸を止めたような声を漏らし、内部の感覚と反して腰を下げ、もう一度腰を揺らし押し込み、それを数回大きく繰り返せば、彼女の身体は欲を拾い集め、其に答えるよう蜜は溢れ出る
『 あぁっ、はっ……んっ、ぁ! 』
「 ハァー……ふっ、ん…… 」
滑り気の良くなる繋ぎ目部分から垂れる、蜜と共に肉体がぶつかる音は響き、鼓膜までも犯していく
目を閉じていた男はその紺色と同じ色の睫毛を震わせ目蓋を開け、月の様な銀色の瞳を向け、僅かな笑みと共に口付けを落とそうとすれば、彼女は下手くそなりに受け入れていく
御互いの吐息から香るキツい程のアルコールの匂い
「 ……ンッ 」
『 はぁっ、ん、くっ…… 』
「 ……もう痛くは無さそうだな 」
『 あぁ、ンッ……! 』
耳元で低く甘さを含む声で囁けば、生理的な涙を流す事さえ楽し気に見詰め、耳朶へと舌を滑らせた軽く彼女の左側のみに付いたリングピアスへと口付け、首筋へと顔を寄せ
彼女は何処かその様子を他人事のように見た後に、紺色の髪に触れ指先で滑らせ撫でるように汗ばんだ後頭部をなぞれば
男の腰は揺れ、更に激しさを増す
『 ぁあっ!っ、そんな……いっ、んっ…… 』
「 ハァッ…… 」
『 ぁあ、っ、くっ!! 』
絶頂を高めるには十分な程に激しく動く男によって、掻き上げられる快楽は直ぐそこまで迫り
其に合わせるよう動く身体を押さえるよう背中へと抱き締め、物足りなさもある小振りな胸元へと顔を埋め男の表情は悩ましげなものになる
「 はぁ、だす、ぞ、……っ……、ッ……! 」
『 あぁあっ、だめっ、いや……い、くっ~~! 』
跳ねた身体は腰を反らせ、頭の中が真っ白になる感覚に彼女の意識は朦朧とし全身が痙攣とした様に震え、男もまた防ぐものすら着けてない為に内部へと精子を吐き出した
先に動き出したのは男であり、彼は脱力感と共に感じる幸福感に口角を上げ、顔を寄せれば額へと口付けを落とす
彼女が落ち着くまで、動くことをしない男は様子を見て抜き去り
サイドテーブルへと手を伸ばし箱を掴み、テッシュを何枚か取れば自身の陰茎を拭く
外していた腕時計を手に取り、時間を確認した男はベッドから下り、脱衣場へと向かう
その様子を僅かに見た彼女は脱力感と共に眠りにつく
「 あぁ、俺だ……予定通り…星乃ルイとは面識を持った…… 」
その後、何度か言葉を交わせば男は電話を切り、風呂に入り、身支度を終わらせテーブルに札を置き部屋を出た
朝日が昇り、彼女が目を覚ましたのはサイドテーブルに置いてあったスマホの通知音にて
普段の癖で腕を伸ばし、探るように動かし見付ければ画面の光に眉を寄せる
『 お母さんからだ……朝御飯はいるの?って……はっ!! 』
メールの相手は彼女の母親
そう言えば、昨夜は久々にこっちに遊びに来た友達に誘われて呑みに出掛けたんだと思い出した彼女はベッドから起き上がり、メールの返答をすれば下半身の違和感に気付く
『 えっ……? 』
朝の太陽の光で見えた自分の身体
太股に残る血痕やとろっと垂れた液体に指で触れれば、徐々に血の気は引き青ざめていく
『 えっ……うそ……待って……。私、どうして… 』
彼女は昨夜の事を思い出そうとし、そして記憶を巻き戻し再生した
__________
~ 主人公 視点 ~
それは約十二時間前まで遡る
『 お母さん!友達と飲みに行ってくるね! 』
「 大丈夫?貴女、普段飲まないのに…… 」
家を出たのは二十一時頃
御風呂から上がった後に高校の時の同級生である、女友達がこっちに遊びに来たと言う事で飲みに誘われた
お金が無いからと断ったけど「私が奢るから大丈夫!」なんて言われて承諾した
とりあえず、奢られるのは嫌で所持金を一万円ほど財布に入れ母親の心配をよそに家を出た
まだ肌寒い為にファー付きのコートを羽織り、黒のズボンを履いた程度の陰キャの姿
別にいいんだ、都心付近に住んでるけど電車で乗り継がないと中央に行けない程の田舎であり
元々お洒落とかメイクが興味ない為に、自分磨きに興味はない
電車に揺られ、指定の駅へと向かえば辺りには仕事を終えて此から飲みに行く人達
明日は日曜日だから休みの人も沢山居る
私は常に休みだけど……なんて思っていれば此方に来る友達を見かける
「 わっ!ルイ!久しぶり~!! 」
『 久しぶり、陽菜ちゃん! 』
先に見付けてくれて助かる
視力が悪くて殆ど見えてなかったと安心しては、二人で両手を掴みその場で跳び跳ねては抱き締め合う
「 元気にしてた~!? 」
『 うん、してたよー!陽菜ちゃんは? 』
「 してた!してた!ちょー元気!! 」
『 よかった! 』
高校生になり、こっちに引っ越してきてまだ友達が居なくて、不安だった私に一番に声をかけてくれて仲良くしてくれた子
都心ではないけど、それでも関東の方でデザイナーの仕事へと向かったらしく、とても勉強熱心で優しい、それに滅茶苦茶可愛い
小顔だし、羨ましいほどに胸があってスタイルもいい、大きな目と染めたイチゴジャム色の髪は綺麗に巻かれてると思いながら感動の再会を果たす
私の取り柄と言えば日本人女性の平均より十㎝高い身長
そして引きこもりニートらしい色白って位だけど、元々顔は知らないけど白人の父親とのハーフらしいから青色の目をしてるぐらい
そんなの外国に行けば沢山いる容姿であり、陽菜の様な個性がある可愛い顔立ちではない
髪が綺麗、目が青いね、色白だね、なんて言われるけど全体を褒められたことはまずない
だからなのか、二十四歳になるのに処女のまま
「 それじゃ、行こ!リサーチはしてたから 」
『 高いところは勘弁ね? 』
一人こそこそと自慰はしたことあるけど、これいって玩具は買ったことはない
興味はあるけど買えるわけがない、母親が先に箱を開けたら終わりだし
もっと危険な、たまに帰ってくる姉もいるからね
「 だからお金は気にしないで?デザイナーして中々売れてきたからさ。余裕あるし 」
『 流石陽菜ちゃん。玉の輿の前に、ヒモ男につかまりそう~ 』
「 ははっ、大丈夫。同じ会社内だけど彼氏いるから! 」
彼氏がいる陽菜ちゃんに羨ましいなって呟けば、背中を軽く叩かれて笑った
「 大丈夫!ルイは優しいくて美人さんだから出来るよー! 」
『 はは…そうかな? 』
優しさと容姿では出来ないことを知ってる
自分から彼氏が欲しいと望まなければ出会いなんてきっとない
陽菜ちゃんに連れてやって来たのは、駅裏にある雰囲気のいいバーであり
カウンター席へと腰を下ろす前にコートを脱ぎ服をかけて、話をする
ハイネックニットを着てる私に比べ、身体の凹凸がハッキリ分かるピッチリタイプの黒いインナーを着てる彼女は、知らない間に色気すらある
綺麗だなって改めて見ていれば、此方を向き笑顔を向けてくれた
「 さーて、飲むぞー!何から飲む? 」
『 種類分かんなくて……陽菜ちゃんと同じの飲むよ 』
「 いいの?私って結構飲むから、ついてこられるかな~ 」
いや、同じペース配分で飲むとは言って無いんだけど、何故かそうなったらしく
陽菜ちゃんがバーテンダーの爽やか系のお兄さんに注文すれば、綺麗なカクテルが出来上がる
本格的なカクテルは初めてで、宝石みたいな飲み物だと飲んでいれば、口当たりもよくて予想外に飲んでたのを思い出した
『 別に辞めたくなかったの……でも、あの、しゃちょうが、じんけんひ、たりないとか……うぅ…… 』
「 今の時代、赤字になった会社は容赦なく切っていくもんねぇ……。よしよし、頑張ったね 」
『 ふぇ……うん…… 』
飲んで話すとスッキリするよ、と言われて先月首を切られたことを泣き泣き話した
陽菜と同じ高校はデザイナーやファッション関係の専門学校だった
でも、母方の祖父が病気になり母親と共に介護に二年を費やし、祖父は肺炎で、後を続くように祖母は風邪で亡くなって
その事がきっかけで学校に行く気力がなく、三年生の十月に自主退学し、バイトをして、他の企業に行き社員になった
中卒でも働けるって思ってた矢先に、中卒は切られ高卒、大学卒の社員だけ残った
その事で自主退学したことに後悔してたりと、色々悩んでたら就職活動もままらない状況
うつ病に近いほどに悩んでて引きこもりになっていれば、前々から連絡を取り合ってた陽菜からメールが来たんだ
「 ルイは、専業主婦とかになったら? 」
『 ふぇ……なんで? 』
「 だって、ルイは昔から料理とか得意じゃん 」
『 家庭的なのしかつくれないよ…… 』
母親が働きに出てるから、小さい頃からご飯は自分で作っていた
食費に当てるお金は月に一万円程だった為に、家庭料理と言っても素朴なもの
こった物なんて作ってなかったと涙目になれば、彼女は苦笑いを浮かべる
「 そ、それでも此れから勉強したら…… 」
『 その前に……彼氏いない…… 』
「 そうだった…あ、ごめん。仕事場からだ…電話に出てくるね 」
電話に出ると席を立ち、店の外へと出た陽菜に頷いて居れば、直ぐに隣へと男性が座ったんだ
『 ふぇ…… 』
「 料理は何が得意ですか? 」
『 えっ……オムライスとか…… 』
急になに!?と内心驚きながら、酔ってるのもあり
余り警戒せず答えれば、細身のスラッとした男性は此方を向いた
「 では、子供は好きですか? 」
『 嫌いです…… 』
子供なんてお金が掛かるし、子育てする気力はない
だからキッパリと言えば、前髪の半分をバック上げにし短髪の男性は笑みを溢した
「 貴女の事をきっと気に入る男性と、会っては見ませんか? 」
『 いやです…… 』
そう言った筈なのに、緊張を誤魔化すためにぐいっと飲み干したカクテルの後から記憶が曖昧になって
何故か、支払いをこの男性が終わらせて
家まで送ってくれるからと車に乗ったのは良いものの、隣に別の男が座ってて
着いた先が知らないホテル
そして、気付いたときには他の男が目の前にいた
『( イケメンだから…いっか )』
なんて思って、処女が無くせれば何でも良いみたいな感覚で流されたんだった!!
そして現在に至る
『 思い出した……でも、こんな私を抱いてくれた男性は別の男だったな。誰だろ……AVの男優とかだったら怖いな。あり得そうだけど…… 』
視力以前に部屋が暗くて、そんな顔が分からなかったけど、ハンサム系で悪くないスーツを着た人だった気はする
とりあえず、風呂入って帰ろうって決めた
『 なんで札が置いてあるの!!?いやっ…口封じ?じゃ、……お肉買って帰りまーす 』
お金に勝るものはない、うん
十万円程の大金はお肉とお母さんと共有して使ってる通帳へと入れました
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