十四話 パーティーに参加します

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十四話 パーティーに参加します

その週の終わり、仕事終わりに一旦家に帰って来た隆一と一緒に桐生財閥主催の御披露目パーティーに行く事に…… 『 うーん……変じゃない……?緊張する 』 「 大丈夫、凄く綺麗だ 」 隆一さんより先に来た、蓮さんが連れてきた美容師によって長い髪は軽く切られて整えられ、そして結われていた ドレスとかではなく、仕事終わりに集まるから皆がスーツらしくて、私もレディーススーツなんだけど久々にメイクもさせられ緊張してる 蓮さんの運転中に何度も隣に座る隆一に聞くけど、不安で仕方無い 「 チョーカーが無いから、余り離れるなよ?トイレ行くときは声をかけてくれ 」 『 大丈夫。エチケット袋とか沢山持ってるから 』 「 そうじゃなくて……いや、まぁいいか…… 」 隆一は額の絆創膏を小さいのに変えて、前髪を多めに下ろした髪型 マッシュルームヘアーに見えない辺り顔がいいのだなって思い、ちょっと弄ってる髪はいつもと雰囲気が違って見える レディーススーツのスカートの丈が膝上だし、履き慣れない踵の高いパンプスとか目線を落としては、胃の辺りを押さえるため小さいペットボトルに入った炭酸水を飲む 「 ルイさん。緊張しなくとも、五十嵐財閥と桐生財閥は昔から友好関係なので大丈夫ですよ。まぁ…他の人達は分かりませんが 」 「 他の奴等も沢山いるだろうなぁ… 」 『 もう人見知り発動して、気持ち悪い…… 』 私にとって知らない人達なのは変わりなくて、尚更気持ち悪いと青ざめていれば、隆一は軽く笑ってから頬へと触れた 『 ん? 』 「 俺の傍にいろ……そしたらいつの間にか終わる 」 『 ん、分かった 』 今日は出来るだけ離れないようにしよって思い、頷いては車の向かう先へと視線をやる 頬に当てていた手は私の右手を握り締め、何気無く指を絡めれば彼の口元は口角を上げた 「 着きましたよ、今夜の会場です 」 普段は結婚式場に使われる建物 その一つのフロアを貸し切ってるらしく 建物の前で車を止め、先に隆一が降りれば私の横のドアノブを開き片手を差し出してくる そっと手に触れ足元に気を付けながら外へと出れば、赤いカーペットが敷かれてる事に緊張する 「 此処はいつもこんな飾りつけだ 」 「 そうです、護衛は俺に任せてくださいね 」 うわ、両手に華って思うほどに他の人に車のキーを預けた蓮さんも横に並べば思う 囚われた宇宙人になった気分だと…… 隆一と軽く腕を組み階段を上がっていき、会場の方に案内されれば入り口で受付の様に待っていた男性は此方を見ると口角を上げた 「 おー!隆一!!ボイコットすると思ってた! 」 「 なわけ、流石に来るさ 」 『( あれ、案外明るい人? )』 一瞬、蓮さんみたいな雰囲気だったけどすぐに笑顔になりそこそこ高い声のトーンで告げた彼に、隆一も笑みを溢す 「 あははっ。だよなー、俺の父さんがお嫁がみたいってずっと言っててさ。その子が? 」 『( 俺のお父さん? )』 あれ、なんか主催してる人の関係者?って疑問になっていれば目があった事にドキッとすれば隆一は答えた 「 嗚呼、ルイ……彼は桐生財閥の跡取り息子であり。俺の同級生なんだ 」 「 俺は桐生 将太。宜しくね? 」 『 ……あ、五十嵐ルイです。初めまして 』 凄い人じゃん!!って思えば、軽く頭を下げて挨拶すれば将太さんはケラケラと笑った 「 そう緊張しなくとも。俺達は隆一が相手をやっと見付けたことの方が嬉しいから。親戚みたいな付き合いだし、仲良くしよ 」 「 誰が御前みたいな、一回赤字にさせた奴と仲良くするか 」 「 あははっ。いつの話だっけ? 」 フレンドリーな人なんだなって見ていれば、蓮さんは他の人に挨拶周りみたいなのをしていた こっちに話し掛けるタイミングを見てるいい歳をした大人達ばかりに、社会の経験が少ない私からするとなんだか何も知らない子供になった気分 実際に、子供ぐらいに彼等の話す仕事の内容は耳に入らない 「 ルイ、行こう 」 『 ……うん 』 お辞儀してから会場へと入れば、中にはバイキングみたいに料理が置かれてるところと、人が話せる何も置いてない部分に分かれていた なんとなく、凄く小さい頃に見たこと有るような雰囲気だと思えば隆一は歩き出し壁際へと移動してくれた 「 此処から人にも囲まれないだろ、匂いとか大丈夫か? 」 『 ありがとう…気にしないように人の横は息止めてる 』 「 ふはっ、そうか。いい作戦だな 」 小さく笑った彼の表情を見てる方が安心する 腕を組んだまま向き合えばパンプス履いてても身長差があり、彼は手を伸ばし耳元へと触れる 『 ん? 』 「 御前の夫は俺だ。自信もって胸を張れ、それだけで十分だ 」 『 ん……分かった 』 軽く頷いて少しすり寄れば、他の人達がやって来た 「 隆一くーーん!!お兄さんだよー! 」 「 げっ……律…… 」 またスーツが似合わなそうなテンション高めの人が来た それも、髪型が美容やらファッション系って分かるほどに弄りまくって凄いし、スーツでもなんか変に着崩してモフモフつけてる…… 今日はコンタクトの為に、よく見えると見上げれば彼は笑顔で来た 「 あらやだ、従兄弟にそんな顔しないで?それでこの子が噂のシェパードさんのルイちゃん?本当、おっきくなったわねぇ~ 」 『 初めまして…。ルイです 』 胸を張れと言われてもグイグイ来られるのは困るし、従兄弟ならどう反応して良いか分からない 凄くインパクトのある従兄弟だねって思えば隆一の身体は少しだけ私の前に行き割り入ってきた 「 そんなデカい顔を向けるな。妻が驚くだろ 」 「 デカいって酷いわぁ。肌の美しさなら貴方達の次ぐらいはいいわ! 」 『( あ、そこは認めるんだ…… )』 口調からしてオネェっぽい人なんだろうなって見ていれば、隆一は反対の手であっちいけとばかりに振る 「 はいはい、他に話したい奴が来れなくなるだろ 」 「 連れないわねぇ。今日は貴方のお母さんも来てるらしいわよ 」 「 !!……母親が?何故……こんな…… 」 そう言えば父親の話は聞いても、母親は聞いたこと無かったと思っていれば隆一の表情は暗くなる 「 そりゃ貴方が婚姻届出してるのは誰もが知ってるからねぇ。挨拶無しみたいだし、カンカンだわ 」 「 ……そうか、後で話しに行く 」 「 後?来たわよ 」 律と聞いたオネェさんが、目線を向けた先を見れば二人の護衛みたいな人を連れて入った来た、如何にも気難しそうなマダムに掴んでいた腕に力が入る 中にいる人達が道を開けるぐらいに存在感があった 「 はぁー……行くか。ルイ、変なタイミングで悪いが母さんに会って貰うぞ 」 『 が、頑張る 』 今!?手土産とかなんも買ってないといいの!?って思いながら引かれるまま歩けば、隆一が母親の元に行くのが分かったらしく、彼等は道を開けた こうやって視線を感じるのは好きじゃないけど、其より隆一の母親に会うってことに緊張する方に意識はいく 話してた蓮さんも何気無くやって来れば、女性は此方に気付いた 「 母さん、久しぶり。紹介する…妻のルイだ 」 無言のまま此方を見詰める母親は、美しいほどに着飾っている それに目の色が隆一そっくりの銀色をして、髪は黒っぽく見えることに、ハーフなんだと気付いた 『 初めまして、五十嵐ルイです。隆一さんにはいつも御世話になってます 』 それ以外になんて言えば良いか分からなくて、軽く頭を下げていれば女性はゆっくりと動き此方へと体を向ける 「 私はイザベラ。とてもお綺麗に成長しましたね 」 『 !!あ、ありがとうございます…… 』 カタコトの口調が残る僅かに言葉に、驚いて目線を向ければ優しげに微笑んだイザベラさんは言葉を続ける 「 会いたかったです。私の息子が身勝手で……申し訳ないです 」 『 あ、いえ。そんな事ないですよ。今は楽しいですし 』 「 母さん、ルイさんは妊娠十九週目に入りますよ 」 眉を下げた彼女に大丈夫だと軽く手を振れば、母親の味方になってるみたいな、蓮さんはそっと耳元で告げれば、優しげな彼女の表情は変わり 目を見開くと、隆一の腕が外れて身体を後ろへと引いた 「 蓮、なっ、今そんな事! 」 「 隆一!貴方って子は、そんなスケコマシになったの!? 」 『( あ、海外の方だ…… )』 ハーフじゃなくてそのままだと分かり、変わったテンションに引いてる私は、目の前で母親には勝てない息子と、息子の胸ぐら掴んで怒ってるお義母さんの光景に さっき、なんで嫌そうな顔をしたのか今理解できた 「 違う、事は無いけど……ちゃんと大切にしてるさ!! 」 「 関係無いわ!結婚式を挙げてからとあれほど、それになんでママに言わなかったの!?お嫁さんにあげるプレゼントを、すごーく、すごーく楽しみにしてたのに! 」 「 言ったら沢山送ってくるだろ…… 」 隆一は、女性には勝てないタイプの人なんだなーって見ていれば楽しそうに蓮さんは笑ってるし 周りの人もクスクスとその光景に微笑んでいた 嗚呼、彼等は私が思ってる以上に優しいんだ 「 母さんは、昔から俺達の嫁を一番楽しみにしてて…。婚姻届を出したことを知ったら大喜び。でも、隆一は子供みたいに構われるのが嫌で黙っていたんです 」 『 フフッ、ママにとっていつまでも子供ってことかな 』 隣に立った蓮さんの言葉に、軽く笑っていれば彼は困ったような表情を向けた 「 構い過ぎな位ですよ 」 「 ルイちゃん! 」 『 あ、はい! 』 困り顔の蓮さんを見ていれば呼ばれた声に、返事すればイザベラさんは此方に来て私の両手を掴んだ 『 えっと…… 』 「 お義母さんって呼んでね!息子達を育ててるからなんでも聞いて!孫が見られるのはとっても嬉しい! 」 『 お義母さん……宜しくお願い、です…… 』 喜ばれる事は嬉しくて、胸の中はポカポカあたたかくなるんだけど質問攻めは困ってしまう 「 うん!!服はある?色々準備は終えた? 」 「 母さん……その話は此処じゃなくてもいいだろ…ルイが困ってるから、他の時に頼む。住所教えるから 」 「 そうね!!遊びにいくわ! 」 よくしゃべる人なんだなーって思えば、手を握り締めた後に彼女はそっと抱き締めてきた 私より小さいのに、その腕は母親そのものだ 「 これから、沢山沢山…辛くて大変だけど頑張ってね。五十嵐家は…貴女の家族なの。子育ては皆で支え合うのよ。貴女は一人じゃない…… 」 『 っ……はい…ありがとう、ございます…… 』 これから不安な事は沢山あるけど、隆一さんの家族が支えてくれるって言葉に嬉しくなった 嫌がられるのかと思ってたから、安心したことにその背中を抱き締めていれば、周りの人は優しく拍手をしてくれる 「 それでは、皆さん。五十嵐隆一さんの婚約者である五十嵐ルイさんの紹介です 」 よく分からない身内だけのパーティーみたいな事に、覚えたマナーとか全然なってないけど それでも気軽に声をかけてくれるし、五十嵐側の親戚も色々来ていて楽しかった 気分の悪さに、何度か離れてトイレに行ったけど他の人も気にかけてくれて悪くなかったかな…… 「 隆一さんが二十年前に選んだ人なら勝ち目ないやー 」 「 うんうん。幸せそうだし、全然あり 」 『( よかった……女性達も怖くない…… )』 何気無く聞こえてくる周りの評価も怖くなかったと安心して、桐生家の人達とも挨拶をして夜の二十三時頃に家へと帰った 次の日から、沢山の荷物が贈られてることは言うまでもない
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