一話 姉の代わりでいいの?

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一話 姉の代わりでいいの?

身体は大丈夫かって?結構、平気なもん 元々こそこそ自慰してるし、挿入含めて余り嫌な違和感無かったと思う だから平然とスーパーに立ち寄りお肉を買い終えて、ついでにATMに寄って通帳に入金してから帰る 正直、もう少し感覚の経験をしたかった好奇心は有るんだけど、もう二度と経験できないし お金を置いていってくれるほどいい人なんだろうなーって空へと拝む 『 ただいまー! 』 二階建てのアパートであり、外見はボロボロだし、内装も荷物が多くて足場の踏み場以前に、リビングまでの距離が短い為に四歩で行ける 部屋干しされた服を越えた先を見れば、何故か母親と姉が向き合って座っている そして、隣には知らない茶髪の男性が居るじゃないか この修羅場に驚きながら、男性と目が合いペコリとお辞儀してから冷蔵庫を開け冷凍室に肉をいれる 「 本当に…その人と一緒になるの? 」 「 なる……だから、お見合いはしない 」 お見合い!?えっ、お金持ちがしそうなこと!?なんて驚いて冷蔵庫を閉めて振り向けば、テーブルの上には一枚の閉じられた黒いノートみたいなのが置かれてある 何気無く母親が其を私に向けてきた為に、受け取り中を、恐る恐る中を見れば…… 不機嫌そうな顔だけど凄くイケメンが載っていた 『 えっ……イケメンじゃん…… 』 「 IT企業の社長さん。父親の後を継いだらしいの…お金もあるのに、なぜ嫌なの? 」 「 お金目当てで結婚したくない…。それに、私は拓真君を愛してる! 」 姉の仕事は本屋さんの正社員だった気がする 彼氏の家によく泊まってるって聞いてたから、帰ってこないことも知ってるし 付き合って長いのも覚えてる 『 お母さんいいじゃん。ルカちゃんが彼氏と付き合って五年とか経ってるの知ってるでしょ? 』 「 そうだよね!?流石ルイ!分かってる!! 」 今年で六年目になるよ、なんて言ってるルカお姉ちゃん そんな長く付き合ってる彼氏さんがいるのに、別れてお見合いなんて方が勿体無い 今回は姉の味方だとばかりに、ルカの横に立つ 『 お金も大事だけど、愛?とかっていいなって思う…… 』 「 俺、ちゃんとルカさんを幸せにします!まだ本屋のバイト上がりの社員だけど……必ず… 」 頭を下げた拓真と呼ばれた、チャラい感じの男性に母親は顳顬に手を置き溜め息を吐いた 「 貴女には、私みたいに貧乏な暮らしをさせたく無かったのに…本当……男運がないわね…… 」 「 そんな事ないよ。拓真君と出会えただけで運命だよ 」 「 はいっ、共通の趣味も持ってるのでいつも楽しいです 」 『 いいね、仲いいの羨ましいな 』 同じ仕事場、そして同じ趣味を持つ 陽菜ちゃんも、ルカも二人とも羨ましい程にいい相手を見付けたんだねって微笑めば 姉は立ち上がった 「 それじゃ、お母さん。話は終えたからまたね! 」 「 お邪魔しました! 」 デートに行ってくると告げた、二人は早々に部屋を出ていった 一気に静かになった空間と気まずい雰囲気に、二人のコップを下げて、変わりに自分のコップを持ちお茶をいれ、飲む 「 ハァー……貧乏暮らしは止めて欲しかったわ。ルイ、お土産は食べていいわよ 」 『 うん、ありがとう 』 一杯のお茶を飲み干してから、コップ下げてお見合い写真を置き 拓真さんが持って来たクッキーの缶を持ち、二階へと上がり自分の部屋に戻る 『 クロ~ただいま~ 』 部屋を開ければにゃーと鳴いてすり寄って来る黒猫 元雄猫であり、子猫の時に拾ってからずっと六年ぐらい飼ってる 丁度ルカと拓真さんも付き合った時だから、二人でカップル成立なんて変なことを言ってたのを思い出す ボロボロのアパートだからペット可なんだよね 猫用の容器にカリカリの餌をいれ、コートを脱ぎ衣紋掛けにかけ 服を部屋着へと言ってもカップ付きのタンクトップを着て、どっかのメーカーのジャージを上下に着る程度 髪を軽く一纏めにし、黒淵眼鏡をつければ早々にスマホを持ち恋愛小説を見る 引きこもりニート最高!って思いながら、背中の上で寛ぐクロをよそに、片手でチョコチップクッキーを食べ小説を見ていれば、聞き慣れない車の音に疑問になる いつの間にか昼頃になったらしく母親の声が聞こえてきた 「 ルーイ。起きてる?ちょっとおりてきてー 」 『 はーい!今行く 』 小説にしおりを挟んで、スマホをジャージのポケットに入れ、クッキーの缶を持ち口に一枚咥えては一階へと降りていく ジャージの前は止めずだしない格好で、いつもの様にリビングへと向かえば 階段から振り返った瞬間に、脚は硬直する 『 えっ……? 』 「 ルイ、お話ししたいらしいよ 」 笑顔の母親と、二人のスーツ着た男性 一人はバーで声を掛けて来た人が手前側に座り、そして奥側には何処かで見覚えのある紺色の髪をした、背丈が高く見える男性がいた 彼は身体を後ろに下げこっちを向いては、口角を上げた 「 元気そうだな? 」 『 っ~~!? 』 なんでこの人が!? てか、ぼんやりとしか覚えてなかったけどそのカラーコンタクトみたいな銀色の目と、染めたような紺色の髪がインパクト強すぎて覚えてたよ ハッキリと思い出したことに顔は熱くなる 「 あら、ルイ知り合いだったの?ルカのお見合い相手だった、五十嵐 隆一さん 」 『 五十嵐…隆一…。偽名か 』 「 馬鹿言え、本名だ 」 『 ば……ばかって…… 』 初対面ではないけど、そんなサラッとバカって言わなくても…… ちょっと傷付いたと思っていれば、手前に座ってるスマートで、髪型以外は如何にも秘書っぽい雰囲気の男性は答えた 「 ルカさんの代わりに、ルイさんを貰っていいですか? 」 「 はいっ、もちろんっ 」 『 待って…… 』 なんで進行役が居るんだよ、と言うかお母さんもサラッと許可するんじゃない 「 なんで、ルイ。お金持ちよ? 」 『 だから…ルカちゃんも言ってたじゃん。お金より愛情って…… 』 「 貴女もそうなの? 」 本人の前でお金持ちなんて話していいんだろうか…… 部屋干しで下着とか干しっぱなしだし、荷物も散乱したこの部屋を見て平然と座ってる二人に色々聞きたいほどだ…… 『 だって、この人…知らないし 』 「 ほぅ? 」 『 くっ…… 』 何か言いたそうな表情に腹立つ! 絶対にヤったとか言ってみろ、何気無く蓋をしたクッキー缶が飛んでいくからな! 「 此れから知り合えばいいでしょ。貴女は此処ではない場所に引っ越して貰いますし、不自由な暮らしはさせませんよ 」 『 引っ越しって……クロ……猫いるし…… 』 「 猫?連れてくればいいだろ 」 『 あ、いいんだ…じゃなくて…!よく考えて! 』 クロもいいの?って事に少しだけ揺らぎそうになったけど、よくよく考えて欲しいと缶を持ってない片手で、部屋の方へと片手を向けた 『 こんな貧乏なんだよ!?ホークと包丁のマナーとか習ったことないし 』 「 カトラリーですね 」 「 カトラリーの事か 」 『 それ、とか!服とか干しっぱなしだし、いつも…メイクとかしないし…… 』 カトラリーってなに!?って思うけど馬鹿にされたと言うか、知らなくて可哀想なんて視線を落とされたことに胸が痛む 徐々に声が小さくなり、自分でも何を言ってるのか分からなくなってきた 泣きたい程に鼻先が痛くなり、むしゃくしゃする感覚をぐっと堪えていれば隆一と言う男性はテーブルに肘を付き、手の甲に顎を乗せれば軽く笑った 「 何一つ気にする必要はない。御前が手元に入れば十分だ 」 『 なっ、なにそれ…… 』 「 えぇ、貴女の“存在"が必要なだけですから 」 「 仕送りはしたいだろうから、こっちで毎月金は振り込む。ネコも連れてこい。着なれた服も纏めろ。だが、他の物は移動するな、邪魔になる 」 話が進むことに、其でいいのかと母親を見れば笑顔を浮かべていた そうか、金がない娘より仕送りされた方がよっぽどいいに決まってる ぽんっと十万円をくれるような人だ、彼等に何を言っても無駄なんだと思う 『 分かった……お見合い、なのかは分からないけど受け入れる 』 「 お見合いじゃないな。結婚だ…婚姻届けを持ってきた、書け 」 『 へ?ちょっ……気が早くない!? 』 「 俺の方は記入してある 」 意味わからんと驚くも、隣にいる男性が鞄から取り出した婚姻届けの紙 本当にそんなのを書く必要があるのかと渡されたボールペンを持ち、脅されてるような感覚で恐る恐る書いていく 『 ……あの…此所の住所ってどうやってかけばいいの…?漢字分かんなくて… 』 「 御前……大丈夫か? 」 『 頭か!?大丈夫だよ!! 』 「 あ、ここ……間違えてますね 」 「 はぁ……軽く修正して出せばいい 」 婚姻届が何ヵ所か修正があるのでいいのだろうか、溜め息ばかり吐く隆一とか言う男によって、私のメンタルは崩れていく なんとか書き終わった時には、殆ど記憶がないまま、勝手に男は私の部屋へと上がっていく 『 あっ、ちょっ!! 』 「 御前の部屋、こっちか? 」 「 では、娘さんを預かりますね 」 「 はい。不出来な娘ですが宜しくお願いします 」 『 お母さんんん!! 』 なんで御辞儀してるの!必要ない!!って思いながら、部屋を開けた男の服を掴むも 彼は頭をぶつけないようかかんでから中に入った 「 猫…黒猫か、悪くないな。と言うか、部屋きた… 」 「 …散らかってますね 」 『 うぅ…… 』 汚いっていいかけたな、部屋が狭いから布団は引きっぱなし、衣紋掛けが並んでるし 猫と一緒に寝てるから毛とか凄いし、本は適当に積み重なってるけど…酷い…… 「 服、買った方が良さそうだな 」 「 えぇ、猫と身一つで大丈夫でしょ 」 「 猫用グッズも買い替えてやる 」 『 それは……嬉しいかも。よかったねー、クロ! 』 人見知り発動して逃げてるクロだけど、やっぱり猫様の暮らしをしてるからそれは単純に嬉しかった 耳を下げて威嚇してるクロに、これから大丈夫かなって思えば、男は振り返る この部屋に、高身長の男が二人前後に挟んであったら普通に迫力あって怖いんだが…… 「 じゃ、帰るか。ほら行くぞ 」 『 えっ、今から!? 』 「 当たり前です、婚姻届けを出してからそのまま新居に行きますよ 」 恨みを向けそうなお母さんとしっかり御別れをすることになった また連れてきてやる、と言われたけどそれって連れてこないと来れないってことだよね 悲しすぎる 『 わー……黒塗りの高級車……嫌な予感 』 「 何いってんだ?いいから乗れ 」 病院行く時に入ってもらうケージに入ったクロを連れて、黒塗りの高級車に乗った 今から、連行される見たいに恐ろしい 運転はやっぱり秘書みたいな人だった 『 あの……その人、誰? 』 「 五十嵐 蓮 です。隆一の弟です 」 『 へぇ……えっ!!? 』 弟さん!?待って、すみません…明らかに部下かと思いました 心の中で謝っといた
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