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二話 新居に来たものの
運転席と助手席以外は、プライバシーガラスでしっかりと外部から見えない車
中から外を見れば薄暗いけど見える
何処に行くんだろうと不安になりながら、市役所に婚姻届け持って行く際には周りの視線が気になったけど
隆一さんが、平然としてたから職員も対応してくれた
私、ジャージなんだけど……って何度思ったか
もう少し婚約とかって夢がある物かなって思ったけど、全くない
本当に此で良かったのかなって思い、外の風景から隣に座る隆一さんへと視線を向ける
『 隆一…さん?あの…姉のルカじゃなくていいんですか? 』
気になってた事に問い掛ければ、この人は片手を伸ばし髪へと触れればごく普通に撫でてきた
その手の当たり前に触る感覚はちょっと怖い
なんせきっと姉と同じ三十代には見えるからだ
彫りの深い顔立ちに、狼の様な銀色の目を見れば怖くなる
「 彼氏を持ってる奴より。処女の御前がいい 」
『 処女趣味でしたか…… 』
「 そんな趣味は無い。彼氏と引き離すより良いってことだ 」
意外に優しい?と撫でる手を離した彼に、運転する蓮さんは軽く笑った
「 そうでした?隆一は写真を見た瞬間、ルイさんを選んでたでしょ 」
「 黙れ……余計な事を言うな 」
運転席の背凭れを蹴った彼に、蓮さんは軽く笑っていた
その言葉と照れ隠しのような態度に私は二人を見て問う
『 ……えっ、なら前から知ったんですか? 』
「 当たり前ですよ。お見合い写真はお互いの顔を見ますので 」
『 私は今日見た…… 』
「 それは失礼しました 」
何故ルカを選んだのか、その事については触れない方がいいし、きっと自分の為だと思って聞かなかった
話すことが無くなって、外を眺めてるのさえ疲れて軽くうたた寝を始めた頃に車は止まった
「 着きましたよ。新しい新居です 」
『 ンンッ!ン…… 』
「 五十嵐グループの所有してるマンションなので、安心して御使いください 」
『 安心できません…… 』
垂れかかった唾液を拭き、クロをつれて車から降りて見上げればそこは馴染みが全くない高層マンションだった
三十九階の最上階が部屋になるらしく、さっさと入れとばかりに二人に囲まれて中へと進めば
セキュリティーも凄そうな、警備員が立っていて彼等を見て頭を下げるほど
エレベーターを上がり、最上階へと行けば玄関までは近くて、カードキーと暗証番号、それに指紋認証を押した隆一さんによって中へと入る
『 わ……ひろっ…… 』
「 靴のまま入れ。大理石だから猫も放し飼いでいい 」
『 わか、た…… 』
大理石の床、模様が全部違うと思い
広々として目についたダイニングテーブルも一枚の大理石で造られて物が家具以外殆どない
「 先に花瓶などは撤去しました。他に猫が危なそうなのはありますかね? 」
『 えーと、コードとか噛む子じゃないんで大丈夫、です!花瓶とかは嬉しい… 』
「 それは、良かったです 」
余り敬語が得意じゃないのか、それとも私に向けてたのかは分からないけどにこりと笑った後に、色々見ようと、歩いていれば
リビングっぽい場所に、猫用の大型ケージがセットされていた
『 此所が新しい部屋って。良かったね 』
クロをケージの中に入れて、使ってた毛布を猫用のロールクッションの上に置き
後は慣れて貰う為にケージに覆いを被せてから、部屋を見ていけば、隆一さんは片手を腰に当て話始めた
「 新居って…。仕事終わりに此処まで上がるのは面倒だ。一軒家とか無かったのか? 」
「 直ぐに用意出来て、模様替えもしやすい此所になったみたいですよ 」
「 交通の便利はいいだろうが… 」
新居って言うから、てっきり隆一さんの家なのかと思ったけど新しい場所なんだ
「 また一軒家が見付かり次第、引っ越しますか? 」
「 有ればな 」
「 では建てておきます 」
『( 建てるんだ!!探すって土地!? )』
引っ越しって一年後とかになりそうだけど、まぁいいや…
もう彼等の感覚にツッコミのは止めようって、廊下を進もうとすれば名を呼ばれる
「 ルイ、ちょっと来い 」
『 ……なんですか? 』
ルイ、まぁ…旦那さんだもんな
呼び捨てに慣れようって思って近付けば、彼はポケットからチョーカーのような首輪を取り出した
それを無言のまま背を曲げれば、私の首へとつける
『 えっ…… 』
「 GPS付きのチョーカーだ。何処に居ても俺のスマホに分かる。外すなよ。後、許可無く家を出るな……デリバリーも頼むな 」
こんな御趣味が……とばかりにチョーカーに触れば、まるでイエネコみたいな事を言われる
妻に発信器付きの首輪をつけるって相当な趣味だな
「 家事もしなくていい 」
『 家事も?? 』
「 猫の世話は手伝わないからそれはしろ 」
『 あ、うん… 』
クロは私の子だから、別にいいけどって思えば
彼は鼻で笑うように視線を外す
「 御前はどうせ、まともにアイロンも知らないだろうから、態々服にシワを付けられたら困る。なにもしなくていい 」
『 っ……知らないけど!それじゃ、私はなにすればいいの!? 』
敬語なんて早々に止めてやった
むすっとして目線を上げれば、隆一は腰に当てていた手を向け腹へと指を向ける
「 二人、子供を産め。それが条件だ 」
『 なっ……!?子供嫌いって…蓮さんに言ったのに 』
「 別に嫌いでいい。子供は俺が預かる 」
『 えっ………… 』
それって、私が二人産んだ時点で別れるってこと?
この人は、欲しいって言ってたのはそう言うこと…?
お金の無い、貧困の家庭の娘なら子供産ませて放置してもなにも思わないってこと?
『 なにそれ……子供生む為に、結婚させられたの 』
「 嗚呼、それ以外に御前の役目はない 」
『 っ…… 』
泣きそうだった、泣いたら終わりだからグッと我慢していれば、男の手は伸びた
「 週に一度検査する。そして妊娠しなかったら行為をする。いいな? 」
頬に触れる手を跳ねて、触られたくないと顔を背ければ言葉を返すことなくその場を立ち去った
廊下を突き進めば寝室へと入り扉を閉めた
「 もう少しオブラートに包めませんか?流石に初日で酷い伝え方ですよ 」
「 事実を言ったまでだ 」
ベッドは広く、弾力性もあり悲しい程に冷たいシーツ
電気マットでも入っていれば良いのにそんな事はなく
涙を堪えて、クッションを顔に埋めていれば蓮さんの声が聞こえてきた
「 ルイさん、暖房つけましょ?それに休むときは靴を脱いで寝るんですよ 」
暖房のスイッチをいれた後に、ベッドに近付きブーツを脱がせ下へと降ろせば、私の横へと座り頭へと触れ軽く撫でてきた
「 兄は口下手ですが、最初から貴女を選んでました。二人産むのは直ぐでなくていいんです… 」
『 ……でも、それが条件って 』
「 えぇ、結婚してるんです。子供は欲しいものでしょ?兄は俺と二人兄弟なので……"二人“が目標なだけですよ 」
確かに二人兄弟なら、二人は欲しいかも知れない
だが、だからって好きでもない人と結婚して直ぐに産む為だけに定期的に行為をするなんて可笑しい
クッションから顔を横に向ければ、頭に触れていた手は頬へと滑る
「 おい……。弟だろうが、男と仲良くするんじゃねぇ 」
「 おや…嫉妬深いですね 」
「 黙れ、用がないからもう出ていけ 」
「 はいはい……では、ルイさん。また 」
怒ってるような声にピクリと反応すれば、蓮さんの手は離れ彼は直ぐに部屋を出ていった
そのまま隆一さんも立ち去れば、彼等は話した後に、玄関の扉が閉まるようなロック音が聞こえ
嫌な予感にクッションへと顔を埋めれば、案の定寝室の扉は閉まり足音は近付く
「 御前、蓮の方が好みか? 」
『 えっ……なんで…っ! 』
予想外の問いに振り返れば、そのまま肩を掴まれ仰向きになった
一瞬の事に驚けば、被さる隆一さんの顔が真上にある
夜の事を思い出し息が詰まる
こんな時に思い出したくないと、横を向けば彼は言葉を続ける
「 彼奴の方が確かに若いが、俺の妻は御前だ。他の男にいい顔をするな 」
『 なにそれ……嫉妬? 』
「 違う。俺の顔に泥を塗るなっていってんだよ 」
そっぽ向いたまま告げた言葉に、やっぱり浮気しないような人を選んだんだなって思う
愛情なんて一切ない、冷たい態度に胸は苦しくなれば隆一はスーツの上着を脱ぎ、ネクタイを緩めボタンを外し始めた
『 なっ……!? 』
「 逃げるな。夫が妻を抱くだけだ…夜みたいに可愛く求めろよ? 」
『 っ~~!嫌だ……いやっ! 』
さっさと上半身裸になったことに、流石に産めと言われた後じゃどんなに経験したいと願っても嫌に決まってる
首を振って、脚に触れられば簡単に脚は彼の身体を挟み身体は密着するよう胸元が当たる
背中へと回された腕によって引かれ、頬へと口付けは落ちる
「 いや?そんなわけないだろ… 」
『 っ…やだ、止めて……いっ、んっ! 』
耳元で囁かれた言葉に身体は震え、暴れる様に動かした腕は彼の両肩を掴み、引き離そうとするも抱かれたまま深く重なった唇に目は見開く
『 んっ!んぅ……ん! 』
私は昨日、こんな人に抱かれてちょっと良かったなって思ったのか
愛情もなくて、只結婚前に孕ませようとした性格が屑な人に…
子供なんて産む勇気はない、ましては愛情がないまま生活なんて出来るわけ無い
我慢していた涙は頬を伝えば、唇を離した男の顔は口角を上げ笑っていた
酷いと言う言葉は掻き消され、舌先は絡まり擦り合わせる度に翻弄され、考えは纏まらない
嫌なのに、嫌ではないこのキスが気持ちよくて自ら求めていれば、ジャージのズボンと下着は簡単に脱がされ、下半身は露になり片方の指は割れ目に触れる
明るい部屋で……只、孕ませるために抱く彼に抵抗する気力など無くなっていた
「 ちゃんと…舌を出せば……そう、ん…… 」
『 ふっ、ンッ…… 』
なんでこんなにも優しく触るの
キスすら呼吸を気にしてくれて、中に触れる指も気にならないほど奥に熱を求めて吸い付いては
愛蜜を垂らしていく
増やされた指と共にとき折触れるクリに、気持ちよくて甘い声は漏れる
『 あ、はぁっ……ん…… 』
「 悪くないだろ…俺との行為を好きになれば…沢山抱いてやる 」
悪魔のような囁きに、理性など崩れ落ちて肩に触れていた腕は首後ろへ巻けば
彼はベルトを外し、ズボンと下着を下げ陰茎を取り出せば押し当ててきた
『 っ!くっ…… 』
眉を下げる私に、彼は口角を上げては囁く
「 触ってもないのに、勃起したのは御前が初めてだ……… 」
『 ぁあっ!いっ、んんっ!! 』
グッと押し込まれた瞬間に狭い穴が開く感覚に息は詰まる
忘れてたけど、こんなに痛いんだ…
止まっていた涙は溢れ出て、痛みで背中に爪を立てれば汗をかく彼の身体は動き奥へと進んだ
肉体が重なり、昨夜より生々しい感覚に呼吸を荒くしていれば服は掴まれ脱がされる
一旦、手を離し両手を上げればタンクトップすら取られ、露になる胸に触れては優しく背中を抱き締められ密着する
「 俺以外、浮気をするな……いいな?御前は、俺の妻だ 」
『 ん……んっ! 』
脇から背中へと腕を回せば、全て腕が巻けないほど厚みのある胸板だと改めて分かる
アスリートみたいな体格でサラリーマンに思えないほど筋肉質…視線を動かせば彼の片手は顎を持ち口付けられる
『 ん…… 』
まるで、下を見るなってばかりに不思議に思うもキスに夢中になり思考はそっちに行く
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