ユリアの決意。

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 しばらくするとアミーナがあの男を呼んできた。 もちろんロンも一緒だ。 「どうしたんだ?わざわざ俺を呼び出して」 「急に呼び出してごめんなさい。 今、エレンと話していたんだけど、エレンがおめでたなんですって。 それを報告しようと思って」 「おめでた!?本当か……エレン?」  私が嬉しそうに報告するとあの男は、驚いていた。 もちろんロンも……。  エレンは、恥ずかしそうに頬を染めてコクりと頷いた。 「エレン……お前……!?」  しかしロンは、驚き過ぎて動揺していた。 さて……彼は、どうする気なのかしら?  本来なら愛する女性が妊娠していると分かれば嬉しいはずなのだが……?  自分の立場で考えるのか、それとも一緒になって産まれてくるのを待ち望んでくれるのか。  見ると前者に近い表情をしていた。複雑そうな……。 「あの……ロン様の事情を知っていますし けしてロン様のご迷惑になるようには致しませんので。  私は、このお腹の命を大切に産みたいと思っています。 母と同じように私も……母親になりたくて」  涙を溜めながら必死になって弁解するエレンに 私は、どうにかして一緒にさせてあげたいと思った。  だって……2人は、恋人同士だったんでしょ? 「エレンを1人にするのは可哀想よ。 あなたが父親なんでしょ?だったら最後まで責任を取らなくちゃダメよ!」 私は、ロンを叱り飛ばした。  あの男は、ロンが父親だと言うことにえっ?えっ?と驚いていたが、それよりもロン自身が問題だ。  家柄や仕事を言い訳にしないでほしい。 するとロンは、ハァッ……とため息を吐いていた。  「誤解をされたくないので言いますが私は、別に彼女の妊娠を否定している訳ではありませんので。  もちろん責任も取ります。 ただ急だったので……気持ちが着いてこないだけでして」 「あ、そうだったの?なんだ~それならそうと早く言ってよ。 ロンったら……良かったわね。エレン、責任を取ってくれるって」 「はい」  どうやらまた私の早とちりだったみたいだ。 ロンは、責任を取る気はあるみたいだし、エレンもそれを聞いて嬉しそうだった。 なんだ……なら丸く収まるわね。
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