ユリアの決意。

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 人生の初の二度目の出産を経験することになった。 もう二度と産みたくないと思うほど辛かった。  まだ子宮が開いていたため2人目は、スムーズに産まれたが。  そして女の子を出産する。 結果、息子と娘の二児の母親になってしまった。  息を切らしながらあの男の顔を見る。  感動のあまり涙を流していた。 相変わらず涙もろいわね……。  私は、疲れながらもクスッと笑みをこぼした。 「もう……泣かないでよ?父親でしょ?」 「だって……あんな苦しそうにしていて そうしたら……息子と娘が……おぎゃあって」  涙声の上に初めての立ち会い出産をしたため頭の中が整理出来ていない様子だった。  これで極悪非道と言われているなんて可笑しい話だ。 私は、あの男の手をギュッと握った。そして微笑みかけた。 「しっかりしてよ。名前……もう決めたの?」 「ユリア……」  名前が決まったのかと優しく声をかけるとさらに涙を流しながらもコクりと頷く。  私の手を握り締め返してくれた。 もうどちらが権利を握っているのか分からないわね。  そう思うと何だか微笑ましく思えた。  そして双子の名前を教えてもらった。 息子は『アシェル』幸運を呼ぶ男になるように。  娘は『リリアン』になった。 リリアンは、自分と同じユリの意味を持つ。  とても素敵な名前だと思う。 これからどんな風に成長して大きくなっていくのか、楽しみである。 「元気で大きくなってね。アシェル、リリアン」  アシェルを抱かせてもらうと2人に聞こえるように話しかけた。 リリアンは、あの男が抱っこしていた。  初めて抱っこするこの子達は、本当に小さく温かい体温とズシッとした重さがあった。  これが生きている命の重みだろう。 涙が出るほど嬉しかった……。
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