プロローグ。

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プロローグ。

 私は、剣道の副主将や副会長として 毎日練習に明け暮れていた。  正義感が強いせいか、またまた勝ち気な性格からか、 異性からは、男女と言われることもある。  同性には、何故だか好かれる方だが……。  しかし私だって彼氏も欲しいし普通の恋愛もしたい。 なのに……どうしてこんなことに!?  それは、6月の梅雨の時期だった。 激しい雨にうんざりしていた。傘忘れるし……。  私は、部活が終わり帰ろうと下駄箱まで来るが 丁度雨が降り出していた。  置き傘は、この前自宅に持って帰ってしまったし 今日は、雨が降らないと天気予報で言っていた。  だから、そのまま持たずに登校してしまった。ツイてない……。  このまま濡れて帰るしかないか。 諦めたようにため息を吐く。するとその時だった。 傘を私に差し出す人物が……。 「櫻井。良かったら俺の傘を使って?」 「えっ……三浦君!?」  その人物は、同じ剣道部の主将で副会長の三浦君だった。 背が高く剣道の腕も抜群で全国大会の優勝経験もある。  生徒や教師からの人望も厚いし密かに憧れている人だった。 えっ?私に……いいのだろうか? 「でも……三浦君は?」 「俺は、予備用にもう1つ持って来ているから 女の子が濡れて風邪でも引いたら大変だ。良かったら使って」 「あ、ありがとう……」  ど、どうしよう。三浦君に傘を借りてしまった。 凄く嬉しい……。  しかも何気に女の子扱いしてもらえた。 今まで男女とか可愛げがないとか散々言われてきた。  だが三浦君は、私をきちんと女の子として接してくれる。 それが嬉しくて気づいたら好きになっていた。  私は、傘を受け取ると広げて差した。 すると三浦君も折り畳み傘を取り出すと広げて差した。 そしてこちらを見てくる。 「確か櫻井も電車だったよな? せっかくだし、途中まで一緒に帰るか?」 「う、うん」 やった~一緒に帰れる。  傘まで貸してくれた上に一緒に帰れるとか まるで奇跡みたいな出来事だ。  もしかしたら恋愛フラグ立ったとか? なーんて恋愛ノベルのような事を考えてしまう。
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