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「ファルフジウム。一般的にはツワブキともいうかな。キク科の黄色い花なんだどね」 「知らないなぁ。また花言葉が関係あったり……?」  奈美は頷く。 「花言葉は『先を見通す能力』。千里眼っいうほうが伝わるかしら。遠隔地を見通したり、近い将来を予知できたりするの。その能力を持つ彼女が言ったの。『レヴィガータの行方が見えた』ってね」 「レヴィガータ……、僕のことだね」 「そう。行方がわからなくなっていた貴方の存在を彼女は遂に()たのよ。それで、能力者たちの一部は貴方をこぞって探し始めた。この世界に干渉するためにね。私たちは世界のバランスを維持したい側なの。だから貴方を守りに来た。悪用させないために」 「なんか……スケールが大きすぎて、想像つかない話だね」 「でも、今日みたいなことがこれからも貴方の周りで起きるわ」  淡々と告げたその言葉が、逆に重いものとして奏に響いた。 「それで……、僕はどうしたらいいのかな……」 「私についてきてほしい。当主が貴方に会いたがっている」  奏は大げさにため息をつき、空を見上げた。 「僕個人としては、世界のバランスなんか興味はないけど、この平穏な日々は壊されたくないしね」 「じゃあ……、ついてきてくれる?」  奏は頷いた。  しかし、奏が望むこれまでどおりの『平穏な日々』はもう返ることはないのだと、このときはまだ気づいていなかった。 <序章、完>
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